03 衝突事故 屋上で黒髪の人と金髪の人に遭遇してから数日が経った。 それでもなんら変わりなく、日常が過ぎ去る。 今日はお弁当じゃなくて、購買でパンとプリンを買った。 少し楽しい気持ちになってて小走りで屋上へと向かう。 次の角を右に曲がって階段を登れば屋上…というところで誰かに思いっきりぶつかってしまった。 『うぁあっ』 ?「おわっ!?」 後ろに尻餅をついてしまう。 ?「わ、悪りぃ。大丈夫か?」 前を向くと金髪の人。見た事あるな、と考えてたらゴミ箱を投げていた人だと思い出した。その人は心配そうな、泣きそうなにんとも言えない表情でその人は私を見てくる。 『ご、ごめんなさい!私が悪いんです!ちょこっと浮かれてて…』 ?「…?浮かれてたのか?」 『は、はい…購買で初めてプリンを買…て……』 そう言いながら私は気付いてしまった。さっきまで持っていたはずのプリンが無いことに。 後ろを振り返ると私が転んだであろう場所より斜め後ろ辺りにプリンは転がっていた。 それも、蓋が開いてプリンが床にぶちまけられているという無残な状態で。 『あ、あああぅ…プリンがっ…プリン、がぁ』 ?「…っ。すまねぇ…」 『あっ違うんです!貴方の所為じゃないんです!』 泣きそうな表情のその人が何度も謝ってくるから、すごく申し訳ない気持ちになってしまった。 幸い一番近い水道に雑巾もあり、手早く綺麗にする事ができた。金髪の人も手伝ってくれたし。 『あの、ありがとうございました』 お礼を言ったらその人はびっくりした表情をしてから目を逸らして、また謝って行ってしまった。 それから屋上でパンを食べながら少し嬉しい気持ちになった。 私は、久しぶりに人と話したんだ。 [しおり/戻る] |