最後の泣き落とし
「酷いレッド、私こんなにあなたのこと思ってるのに」
両手で顔を隠して俯けばどんな表情をしているかなんて本人にしかわからない
震える肩に紅潮する頬、女性らしい小さな体がさらに小さく見えて庇護欲を掻き乱される
このままその肩を抱きしめてあげたい、その頭を優しく撫でてあげたら顔を上げてくれるだろうか
きっと誰もがそう思う
一人の男を例外として除けば
「お前も変わらないなぁ、もう騙されないってわかってやるんだからさ」
そう言いながら呆れたようにポンポンと目線より低いところにある頭に数度手のひらを乗せる
すると震えていた肩はピタリと止まり、掌はどくことなく顔が上げられた
「ほんっとに、レッドも可愛げなくなったわね。昔はすーぐに引っかかって顔を赤くしては狼狽えていたのに」
「お前、純粋な男を弄ぶなよ」
先程のか弱そうな女性はどこ行ったのか、太々しいまでにため息をつくブルーにこちらがため息をつきたいとレッドはその額に軽くデコピンをお見舞した
それでも顔を覆う掌はどかない
つまらなーいといって踵を返すブルーの茶色い長い髪がレッドの頬を撫でた
「お前もいい加減にしろよー、ブルーは可愛いんだから素直にしてればきっとすぐお好みの男が寄ってくるって」
拗ねてしまったのかブルーから返事がない
昔からカモがいたら利用する、そんな考えで幼いながらも自分の魅力を最大限に活用できる女性だった
でも根は良い子で、何事にも一生懸命。きっとそんなところを見せれば美人なのだから寄ってこない男はいないだろう
「仕方ないわね、これを最後にするわよ。喜びなさい、ブルーちゃんの最後の泣き落としの相手になったんだから」
「何を喜べばいいんだよ」
ブルーはまだ拗ねているのかレッドの顔を見ずに歩き始めた
レッドもそれに続く
「素直になっても、本命が寄ってきてくれなかったら意味ないじゃない」
レッドはまだブルーの顔を見ていない
赤青ちゃんが可愛いです、いっつも男をカモにしか思ってなかった青が本気で好きになった相手には不器用だと可愛いと思います
タイトルは「確かに恋だった」さんから、ネタが尽きたからお題に走ったとかそんなこと