私だけが知っている
リングに当たることなくボールがゴールに吸い込まれた
その後に聞こえてくる歓声にはきっと私の声も混ざってるだろう
自慢の幼馴染みがゴールを決めたのだ、嬉しいに決まってる
「ねえ今の見た!レッド先輩バスケ部員軽く避けちゃった!」
「しかもスリーポイントからゴール決めちゃうなんてカッコいいよね!」
「グリーン先輩もすごいコントロールだよね!投げたところに丁度レッド先輩がいるんだもん」
「さっきのゴールもダンクなんてカッコイイよね!」
隣から聞こえてくる女子の話を聞きながら私はゲームから目を放さなかった
二人が完璧なプレイをするなんて当たり前のこと、二人のコンビネーションは学園一なんだから
そんなことよりも一秒でも視線をそらしたくない
「グリーン先輩頭良いし運動神経良いし、あのクールな所とかカッコいいよね!」
「それと反対にレッド先輩も頭良いし運動神経良いけど、すごく優しいし笑った顔とか凄く可愛いよね!」
あんな彼氏欲しいなぁなんて高い望みを呟いている女子達に鼻で笑ってやりたい
本当にこの子達は何もわかってない
グリーンがクール?レッドが優しい?
「ただいまブルー!」
「おかえり二人とも、圧勝ね!」
「ふんっ、当たり前だ」
帰ってきた二人はまっすぐに私のところに戻ってきてくれる
それが嬉しくてにやけるのを必死で耐えた
「そんなことよりグリーン、さっきなんでアイツにパスしたんだよ!あんな奴より絶対俺の方が確実だったのに」
「なんのためのチーム戦だ。確かにお前の方が確実だったかも知れないが二人だけのプレイじゃないんだぞ」
これが優しいねえ
チームメイトをあいつ呼ばわりなうえ使えないみたいに言い放っちゃうこの子が?
「最後のプレイ、荒すぎるぞ。もし転倒でもしたらどうするんだ」
「そんなことしねえよ、グリーンは心配性だなぁ」
「お前だけだ、お前になんかあったら辛い」
これがクールねぇ
レッドに対してだとただのヘタレで実は一番勝利にこだわってたこの子が?
なにもわかってないわね
「とにかく二人ともかっこよかったわよ!」
そう言って二人に飛び付く私を抱き締め返してくれた
「お前は……」
「オレら今汗臭いよ?」
「良いの!」
あんた達は妄想の中に勝手に作る王子様に一生憧れていれば良いわ
本当の王子は私だけのもの
運動神経良い緑赤がかっこよくて辛い
その間にいる青が可愛い