初めまして初恋
桜並木を歩いていれば目の前では風にのって舞い踊る桜の花びらが視界の一面に広がる
それに見とれながら、自分のクラスについて考えた
「あの不良二人は何なのかしら、授業サボったり先輩にケンカ売ったり」
思い出すのは中等部に進学して同じクラスになった不良二人
とてもポケモンバトルが強い二人がいると聞いていたが、ある意味リアルファイトをしていそうだ
あんな人達がSPクラスなんて信じられなかった
なんだか今年は大変な一年になりそうだ
そう思って溜め息を吐きながら一本の桜に近づいた
その木は、この辺では一番の大樹だ
毎年美しい桜が咲き誇っている
その木を見ていると落ち着く
すると
「わっ、あぶな!!」
「えっ?」
突然視界が暗くなる
そして最初に見えてきたのは宝石のような綺麗な瞳だ
弧を描くようにクリスの上を舞うように降り立った
何が何だか分からず立ちすくんでいるとその人はすぐ傍まで駆けてきた
「大丈夫!?悪い、まさか下に人がいると思ってなくて」
「えっ、あっ、えぇっと、上から落ちた、いや降りた?えっ、でもこんな高い木、えっえっ?」
再度上を見上げてみる
一番低い枝でも5mくらいの高さにあるのだ
建物の二階と同じくらいであって、そこから人が降りてくるなんて思ってなかったため、思考がうまく定まらない
そんなクリスの様子を見て少年はひとつ笑って見せた
「怪我は、なさそうだね。驚かせて悪かったな。ここオレのお気に入りの場所でさ、よく昼寝とかに来るんだよ」
この木の上でですか?
聞きたくなったが喉の奥で留めてみせた
すると少年の手がクリスの髪に触れる
「花びらついてたよ」
少年の手には一枚の桜の花びら
そして目の前には春の日溜まりよりも優しい暖かい微笑み
桜以上に見とれると同時に、心臓が激しく鳴り出した
「オレはそろそろ行くけど、君もそろそろ時間ヤバイんじゃないかな?」
言われて時計を見たらもうすぐで始業の時間だ
急げば余裕で間に合う時間帯だった
クリスは慌てて駆け出す
「じゃあねクリス、また」
「あっはい!……って、え?」
何故自分の名前を?
振り向く頃には少年はすでにいなかった
そして次に会うのは始業式
舞台で生徒会副会長として彼はいた
名前は、レッドさん
ベタな話だけどそれが良い
中3×中1な赤水晶