真っ白な世界に君一人




白、白、白
辺り一面その色しかない、いっそ鬱になってしまおうかと思えるほど嫌気がさす
もともとジッとしているのは好きではないのだ
こんな真っ白な箱庭など今すぐ飛び出してやりたい

「レッド……」

オレのすぐ隣で困ったように名前を呼ばれた
あぁ、また変な気を使わせてしまった

「冗談だよグリーン、そんなことより今日は何があったの?」

オレはベッドから身を乗り出すようにして耳を傾ける
グリーンは柔らかく笑いながらオレの頭を撫でて話始めた

オレが箱庭から出れなくなったのは小さい頃からだ
身体が弱かった訳じゃない、流行病にかかったわけでもない
いつの間にかここにいた
そして年月が過ぎるにつれてオレの手足は動かなくなっていった
今では足は完全に動かない
オレだけ他の患者と違う病棟
窓もテレビもない
情報を与えるものがないこの空間で唯一外と繋がっているのはグリーンの存在だった

「タイプ相性ではあっちが有利だったが、一掃してやった」

「すげぇ!!ジムリーダーってやっぱり忙しいんだな」

「お前のためだったらいくらでも時間を作ってやる」

オレと面会できるのはグリーンだけ
そして一日一回だ
毎日忙しいはずのグリーンだけどほぼ毎日来てくれる

「ん……」

「レッド、眠いのか?」

やだな、せっかくグリーンが来てくれてるのに

「無理するな、また明日来るから」

瞼にグリーンの手のひらが被さる
そしたら睡魔が急激に襲ってきてオレは意識を手放した

オレが眠りについた頃、部屋に白衣を着た数名の男達が入ってきた

「M−61は」

「今眠りについたところだ」

それはオレの呼び名
ここでオレの名前を呼ぶのはグリーンだけ

「検査の時間だ、退室願おう」

グリーンは言われた通りに部屋を後にする
そして廊下に出て少しした所で拳を思いっきり壁に殴り付けた
口元は悔しそうに噛み締めて治が滲んでいた

「必ず俺がお前をあそこから出してやるから」

呟きは暗い廊下に消えていった





みたいな妄想をした
ただ赤先輩を隔離したかっただけのもの
病気とか考えた時点で負け


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