君だけだと思うなよ




「ねえ、キミ!!」

振り返ってみると少し興奮気味な男の人が数人いた
レッドはグリーンと一緒にいたので彼に用かと思ったら自分だったことに驚く
どうやらチャンピオンである自分を見て声をかけてきたらしい

「キミ、セキエイリーグチャンピオンのレッドちゃんだよね!!」

「えぇ、そうですけど」

「うわっ、本物だ!!オレらキミのファンでさ、会えて光栄だよ」

「はぁ」

「うわぁ、間近で見るとマジ可愛い!!」

「……はぁ」

それからは、女なのにすごいとか、まだ若いのにすごいだとか
ありきたりな言葉で褒められた
褒められるのは慣れてないわけではないし、嬉しいと思う
しかしこうも一方的に興奮されると逆に冷めていくものだ
レッドは男達の言葉に笑顔を繕う物のほとんどを流していた

「あの、記念に握手させてもらって良いかな?」

「握手?」

別に握手など減るものではないし良いかと思った
そして手を差しのべた

しかし、その手は目の前の男に触れることはなかった
手首は横にいる人物に掴まれ、身体ごとそちらに引き寄せられた

「なっ、なんだよお前!!」

怒った男はそちらを睨むがその鋭く輝く緑の目はそれ以上の怒気を含んでいた
怖じ気ついた男達は冷や汗をかきながら後退りする

「行くぞ」

「あっ、ちょっと待ってよグリーン」

制止を促しても主導権はあちらにあるので意味もない
男達はあっという間に小さく見えた

「どうしたの?」

「アイツらお前に馴れ馴れしくしすぎだ、下心が丸見えだった」

「別に握手くらい良いんじゃない?オレが思ってるのはグリーンだけなんだし」

そう言えば照れたようにそっぽを向かれた、しかし本当の事だ
するとまた強く腕を引かれて気づいたらグリーンの腕の中にいた

「いつもお前は俺が他人と話していると辛そうになってたな」

「うん、だってムカつくもん」

「お前だけじゃない」


俺だって、お前が自分以外と馴れ親しんでいるとイライラしてくる





緑先輩テラ空気
赤をわざわざ女にすることはなかったんだけど、久々に女体赤が書きたかった


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