始めの一歩



「よっ、グリーン」

振り向いてみればつい最近知り合ったレッドがグリーンの肩を叩いてきた
こいつはブルーを通じて仲良くなったと言っても過言ではない
いつもクラスの中心にいる明るい奴だと思ってたが、ブルー曰く、本人が友達だと思っているのはほんの僅からしい
意外にも冷めた奴だと聞いている

「今日はあの煩い女はいないのか」

「ブルーな。あいつは今日は弟に会いに行ってるよ」

弟がいるのは初耳だ
毎日どれかの休み時間に会いに行っているらしい
そういうことでグリーンは今レッドと二人だ
ハッキリ言ってどうすればいいか困る

「(煩い女がいれば何となく話ができるんだけどな)」

残念ながら自分は口上手ではないため会話というものに長けていない
ましてや人を通じて知り合った仲だ、あちらがどう思っているかわからない

「(もしかしたら、コイツが認めている中にも入っていないだろうな)」

だったら一緒にいるのはレッドにとって酷だろう
そう思って背を向けて歩き始めようとすると、それに気づいたレッドが駆けて追いかけてきた

「どうかした?オレなんかグリーンの気に障ることした?」

不安そうに見上げてくるのが辛くて足を止めて首を横に振った
それを見て安心したのか、花が咲くように笑顔を向けた
その笑顔に一瞬違和感を覚える

「お前、そんな風に笑えるのか?」

「は?どういうこと?」

意味もわからず首を傾げる姿がどうも同い年には見えなかった
中性的な顔のせいか女子にも見えなくもない

「いつも他のやつらと一緒にいるときは能面みたいな顔してる」

「どんな顔だよ」

作り物みたいな顔、と言ってやれば微妙に納得された
一応自覚はあるらしい

「回りの奴には無関心だろ、お前」

「だってグリーンはあいつらと違うだろ?」

今度はグリーンが首を傾げる

「グリーンはオレの事、どう思ってるか知らないけど、オレはグリーンの事すごい奴だって認めてるんだぜ」

絶対次のバトルは勝つ!!と宣戦布告のように告げられた
グリーンはブルー達と同じ立場に自分が入っていることに驚いた
そしてそれが暖かくて、あの柔らかい笑顔がまた拝めると思うと嬉しくなった

「上等だ」

突きつけられた拳に自分の拳をぶつける
これを世間でいう好敵手というのだろう

じゃあ、相手の笑顔をもっと見ていたいと思うこの気持ちは、いったいなんと言うのだろうか




緑と赤のなれ始め
そして緑→赤フラグ
赤先輩は幼馴染みの青とその弟、個人的にライバルだと勝手に決めつけていた(過去形)緑は認めてる
後からまたポツポツと現れるけど、あとのクラスメートは偶然クラスが一緒になった人くらいの認識
でも、表向きは明るい少年だから世渡り上手


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