猫なんかよりずっと可愛い



その尖ったようなツンツンした髪は意外にも柔らかくて
その光加減では金色のように見えなくもない茶髪に指を通せばサラリとこぼれ落ちた
今は閉じて伺えないが、切れ長の彼の名にふさわしい美しい深緑の瞳もかねそろえば見とれないものはいない
もちろん、そこだけが彼の長所ではない
オレが好きなものの中の1つということだ


そんな彼はオレの膝の上に顔を置き体を横にして一時の休息をとっている
ベッドで寝た方が良いのでは、と言ったがこっちの方がよく眠れるそうだ
それは嘘だと思うが嬉しいのでそのまま貸すことにした
自分も彼の仕事部屋にあるソファーに腰を下ろしている

気持ち良さそうに寝息をたてている彼はいつもより幼く見える
いつも大人と同じように振る舞ってはいるが、自分も含め世間では子供なのだ
これが本当の姿なのだろう

髪をとくように撫でてやれば少し顔が綻んだ気がする
少しでも気持ちいいと思ってくれているのだろうか
思ってくれていると嬉しいな
そう思いながらその手を彼の綺麗な頬に移す
傷のない肌に指が吸い付くようだ

頬に手を添えていると無意識にだろう、擦り寄ってきた
甘えてくれているみたいで嬉しくなる
少し動かれれば、くすぐったくて身を捩りたくなるけど
この時間が続くなら我慢くらいできる

でも、こうやって一見するとまるで猫のようだ
飼ったことはないが、野良猫も甘えるようにこんな風に甘えてくるよな

こんな大きな猫がいたら困るな、なんて思いながら溜め息をつくも
擦り寄ってくる熱が嬉しくて頬が緩んでいるのに、オレはいつ気づくんだろう


―可愛い可愛い、って言ってもグリーンも充分可愛いと思うんだけどな
 猫でも、グリーン以上には愛でれないな

そんなことを思いながら少しずつ重くなる目蓋に逆らわず目を閉じ意識を沈ませていった


次目を覚ます頃には、目の前に碧の瞳を細目ながら頬を緩めながらオレの頭を撫でる彼がいた
その微笑みをとうぶん見ていたいな、なんて目の前に広がる天井を見て

―さっきと立場が逆な気が……

なんて思ったけど、頭を撫でてくれる手が気持ちいいからそれで良いや
無意識に擦り寄っていたことを知るのは、その手をオレの頬に添える本人だけ





今回は赤視点
赤緑っぽいけど緑赤と言い張る
にゃんにゃんにゃんの日にちなんで猫ネタ書きたかったけど、何かが違った
結論、緑赤可愛いよぉ


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