純血王子の恋愛事情  [ 7/31 ]




アルディスの僕に対しての態度は一年生のときはまだよかった方だ。
ポッター共と仲良くしてからは全くいい気はしなかったが、
僕が憎まれ口を叩いてみたり、ちょっかいをだしたりしてもそれなりに反応していた。

それが一転したのは二年生の春。
裏庭でグレンジャーがお節介で口出しをしてきた。
僕は奴に向かって『穢れた血』と言ってやった。
前々から言いたかった言葉だ。いつも授業中にしゃしゃりでては調子に乗っている。
少しは自分が魔法界の中でどんな立場なのか重い知ればいいんだ。
グレンジャーは目に涙を溜めて俯くと、出来損ないの赤毛ウィーズリーが僕に杖を向けた。
呪文は跳ね返って口からナメクジを出している。ざまあみろ。
そう思い仲間たちと笑っていると右頬に何かが辺り、僕は吹き飛ばされた。
魔法でもない、それは人の肌。誰かが僕を叩いた。辺りは騒然としている。
あのポッターもウィーズリーを支えて驚いた。
ウィーズリーは相変わらずナメクジを吐き続けている。

僕が叩かれた頬を押さえて立ち上がろうとすると、そこには目にいっぱい涙を溜めて
癇癪気味になりながら僕に罵声を浴びせるアルディスの姿がいた。
こんなに興奮して感情の激しいアルディスを僕は初めて見た。
グレンジャーも最初は驚いて口を開けていたが、アルディスがもう一度
僕に殴りかかる様子を見せるとそれを押さえた。

「やめて!もういいの!」
「よくない!!こいつは、一回本気で痛い目見た方がいいんだ!!」

もう誰も彼女を止めることが出来なかった。
僕は何も口がきけなくなった。アルディスの力で周りは竜巻や突風が起きていた。

「なんの騒ぎですか!」

遠くからマクゴナガルの声が響いた。それに気付いているのかいないのか、
アルディスは最低、と叫んで大粒の涙を流しその場を走り去った。
その後、アルディスが厳しい罰則を受けたのはいうまでもない。

僕が何をしたっていうんだ?僕はただ、グレンジャーに本当のことを言っただけだ。
アルディスに対しては何もしていない。思い当たる節がない。
そもそもアルディスは古くから伝わるベルヴィーナ家の一人娘だ。
純血であることはむしろ誇りであることなのに、他人を『穢れた血』と罵ったら
彼女が泣いた?意味が分からない。

これは後から聞いた話だが、アルディスは僕らの争いの一部始終を見ていたらしい。
差別行為が嫌いだと言うことは聞いていたが、まさか本当だったとは。
アルディスは”こちら側の人間”だと思っていて全く気にしていなかった。

その日からアルディスは僕に一切口をきいてくれなくなった。目も合わせようとしない。
まるで僕の存在がないかのように。

最初は本当に馬鹿らしくて、僕も意地になってアルディスに話しかけなかった。
そんな日々が続き、僕らは話しかけるタイミングを見失っていた。
僕は謝らない。だって僕は悪くないし、怪我をしたのはこっちだ。
向こうが謝るまで僕は絶対に彼女と会話をしない、とそう決めた。


  


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