夢追サロメ | ナノ



苦い良薬 (景近と茶々)

2011/09/24(Sat) 22:29








 ―とても戦場には似合わない。
彼女を見たとき、そう思った。

『今日は浅井家との合同演習をするからね、景業と景近もついておいで』
そう主に言われて、ついてきたのだが。目の前の光景に思わず目を疑った。
「皆のもの、今日はこの茶々のため頑張るのじゃ!」
まだ年端もいかないであろう少女がいた。腰ほどまでにある茶色の長い髪に、藤色の瞳。その立ち姿は、可憐な華そのものであった。黙っていれば本当に綺麗なものだったであろう。しかし兵に命じるその様は、豪華絢爛の献上品に囲まれて礼を言うお姫様そのものだった。そっと、隣にいた景業へ小声で尋ねる。
「…あの女は、何だ?」
「あぁ。あの方は長政殿の一の姫君、茶々殿ですよ。どうやら長政殿に頼み込んでついて来たみたいですね」
「茶々、か」
なるほど。さすがは戦国一の美女と謳われたお市の方の娘か。
「あ、景近!どこへ行くんですっ」
景業の制止も聞かず、彼女へと歩み寄った。するとこちらに気づいたのか、彼女もまた歩み寄る。そして年相応の少し勝気な笑みを零して彼女は俺に話しかけた。
「そなた、朝倉の将じゃな?名をなんと言う?」
「義景様の側近、鳥居景近だ」
「そうか。景近よ、今日はこの茶々のため全力で戦いに臨むのだぞ」
「…断る」
「なっ…!!何じゃと!?」
なんて自分勝手な姫君か。口角を上げたまま、そっけない返事をしてみる。すると期待通り、周りからは小さなどよめきが起きた。当の本人は予想だにしてなかったのか、顔を真っ赤にしてわなわなと震えている。その様子を見てまた口角が上がる。
「今日の演習は浅井朝倉間の連携の強化が目的であって、姫様のためじゃない。…まさか、その様なことも知らずにここまで来られたのか?」
「えぇい、煩い煩いっ!茶々だってそのくらい知っているわこの無礼者!」
「無礼者で結構。せいぜい怪我しないように気をつけるんだな。…では、俺はこのあたりで失礼する」
「・・・くっ!!」
素早く踵を返した俺の背中を見てもなお、彼女は悔しそうに拳を握って震えていた。周りからも無礼だとかどうとか聞こえたが、そんなことどうでもいい。我儘姫様には、身の程を知ってもらわなければならない。彼女の戦場はここではないのだから。
何故だかたまらなく愉快に思えて俺は口を歪ませて、笑った。


 苦い良薬
 (可憐なその身が傷つかぬ為の忠告を)

***

某方の景近茶々小話に触発されて書いたは良いが…どう見ても状況とか同じです本当にすいませんでしたorz
私が改悪してしまったんだよ、うん。
よ し 樹 海 行 っ て く る ^p^←

えっと、我が家の景近さんはプライド高くてドSです←
あとで話を聞いた義景さまから怒られてそうだw




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