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似た者夫婦




『お邪魔しまーす。ごめんね、急に来ちゃって。』
「全然、大丈夫!いつもの事でしょ。」

ある日の事
ななし1はななし2に相談したい事があり、ななし2の家に訪れた

ななし2とななし1は親友で、なんでも話せる中だ。
ななし1はしょっちゅうの様に旦那の事や子供の事を相談していた
今日もそれに然り、ななし2がななし1を出迎えれば来馴れた家の玄関を上がっていく


「で、今日は誰の相談?はい。紅茶でいい?」
『ありがとう。今日は旦那……八戒の相談。』

イスに座るとななし1はななし2からカップを受け取る
なんとなく、いつもとは違い目を泳がせていたななし1の姿にななし2が頭を傾げた

「どうした?喧嘩?不倫?」
『ぶぅっ、……、ふっ、不倫はないよっ!』
「汚ッ!不倫じゃないなら、何?」

ななし2は紅茶を吹き出すななし1にティッシュを渡す
どうしたの?と聞くと、ななし1は俯き小さな声で話し出した


『あのさ。八戒って、私のこと女として見てくれてると思う?』


「………………………はい?」

『………最近、シテなくて…。』


子供が産まれてから妻を女として見れなくなる


ななし1はそれに悩んでいた。

確かに子供が産まれ、毎日が忙しなく過ぎているのは事実
自分にかける時間もなく、髪を無造作に纏め、いつもTシャツにジーンズ姿。
化粧もそこそこで、スッピンに近い
靴も妊娠前はヒールの高い靴やスカートなどを履いていたが、今はスニーカーでいつでも子供に追いつけるようになった。

そんな自分が、女として見られていないのではないか…と落ち込むななし1

「イヤイヤ、八戒に限ってそれはないよ!」
『………う"ぅー。』

いつの間にやらななし1はクッションを抱え顔を埋めている
良く聞く話と言えばそうなのだが、ななし2はこれ以上暗い雰囲気に落ちるのが耐えられず、話題を変えた

「そういえば、大悟は?連れて来てないじゃん」
『今日はたまたま八戒が休みで見ててくれるって。あ、悟浄が来るとか言ってたよ!』

ななし2は悟浄の恋人だ。
まだ同棲はしていないが、悟浄はななし2の家に入り浸りっている
今は女遊びも止めて、ななし2を大事にしている

「そんな事、言ってた気がするわ」

ななし2はフーッと上を向いてタバコの煙を吐き出す
ななし1はクッションに顔を埋めたまま大きなため息をついた。

『はぁー……、』
「何とも答えづらいわ、その質問…」



一方、八戒たちはーーーー



「お邪魔しますっと。お!大悟、元気だったか?」

悟浄は大悟の頭をクシャクシャと撫でて、手土産にとプリンの入った箱を渡した
大悟は、八戒とななし1の間に出来た愛子だ
手土産を貰った大悟が嬉しそうに箱を両手で上げる

「パァパー、ぷりぃん、」
「ありがとうございます。後で食べましょうね」

八戒は大悟からプリンの箱を受け取り冷蔵庫にしまう
一緒にコーヒーの用意をしながら、大悟と悟浄の微笑ましい姿に微笑んだ

「ごじょ、こっちぉぃで!!」
「おっ!イイぜ、何して遊ぶんだ?」
「ぷあれーいる!」

大悟が出してきたのは線路や電車
青いレールを組み始める悟浄だったが、扱った事の無い物にうまく行かず、歪んだ線路が出来上がる

お互い落ち着くとおもちゃで遊ぶ大悟を見守りつつ、話を始めた

「ーーで?相談ってナニよ?」
「それはですねぇ、最近、僕たちシテないんですよ。」

八戒はコーヒーを飲みながらシレッと言った
まだ大悟には理解も出来ないであろう言葉を悟浄は固まる。
まさか、夫婦の核の悩みを相談されるとは思ってなかったからだ

そもそも、八戒からそんな相談を受ける日がくるとは……

「……………あ?」


ーーガシャン、

悟浄は持っていた電車を落とし、大悟にダメー!と叱られた。悪い、と謝る悟浄。

「それは、ななし1で勃たないって事か?」
「悟浄、それは教育的指導ですよ」
「〜〜、オマエなぁ……。」

こんな相談しておいて。口元をピクピクさせながら悟浄は八戒を睨んだ

「ほら、よく言うじゃないですか、子供が産まれたら夫を男としては見れなくなるって…。」
「…………。」

ななし1同様、八戒も悩んでいた
ななし1が自分を男として見れなくなっているのではと思っている
子供を産み母親になった、愛しい人。

朝から晩まで母親として過ごすななし1にとって自分は父親であり旦那、昔の様に異性として見えないのではないか


「いや、ななし1に限ってそれはないだろ…
アイツはいつまでもオマエを好きだと思うぜ?」
「ありがとうございます。気持ちが楽になりました、相談してよかったです」



ーーーーーーーーーーーー

ななし1が家に帰れば、夕飯の下ごしらえをしている八戒にななし1はバツの悪そうな顔をする

今日は大悟も預け、おまけに夕飯の支度まで…

ななし1はその場に居づらくなり、大悟を探す
聞けば、悟浄が公園に連れて行ったと教えてくれた
迎えに行ってくると、八戒に伝えて家を出る


公園に向かう途中、丁度家に帰ってくる悟浄と大悟を見つけた

『大悟ー!悟浄ー!』

大きく手を振ると大悟がママー!と走って来る

大悟はドカンッと擬音語が聞こえるくらいの勢いで抱きつく、。むしろ、それは体当たりに近い
ななし1は痛いと思いながらも、おかえり、と大悟の頭を優しく撫でる

遠巻きに見ていた悟浄も大丈夫か?と苦笑いで聞いてきた

大悟の手を繋いで歩くと、悟浄が横に来た

「最近、どーよ?仲良くしてるか?」
『……どうだろ?八戒ってなんでも自分で出来ちゃうし、その内愛想尽かされないか心配だったりする、』

ななし1が寂しそうに笑えば、悟浄に大丈夫だと頭をポンポンと叩かれた

家まで送ってくれた悟浄に上がってかないの?と聞けば、ななし2が待ってるからと言われ帰っていく

またな!と手を振る悟浄を大悟と見送って、ななし1と大悟も家に入っていく


家に入れば、良い匂いが立ち込めていた。

to be continued…

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