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言葉足らずの彼女

この小説には友達が出てくるので、名前変換のもう一人の名前に友達を入れてお読み下さい


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カフェで紅茶を啜るななし1
時計を見れば3時を少し過ぎた頃だった

『待ち合わせ3時だったよね?』

携帯をカバンから取り出し、待ち合わせをしている彼女のアドレスを開ける

「お待たせ!ごめんねー」
『遅刻!場所間違えたかと思ったじゃん!』
「ごめんって!」

ななし1が携帯から視線を移せば彼女が両手を合わせて謝る
彼女の名前はななし2
彼女とは小学生の頃からの友人だ

『で、相談って?』
「好きな人が出来たの!けど…彼には彼女が居るの」
『うわ、辛いやつじゃん!』
「でしょ?!あ、ななし1は彼氏出来たんだよね?」
『うん、カッコよくて、優しくて誠実で、器用貧乏なんだけど、すごく私を大切にしてくれる素敵な人なの!』

ななし1の惚気を聞き流すななし2
聞いてる?と聞くと半分ね。と返ってきた

久しぶりの再会に話が絶えない2人は気がつけば陽はすっかり落ちていた

『今日は楽しかったよ!また会おうね!』
「うん、私も!」

またねーと手を振るななし2と別れる



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今日はみんなの予定が揃い三蔵の家で鍋をする事になった
食材の買い出しにと八戒と悟浄とスーパーに向かう途中、後ろからななし1ー!と声を掛けられる

『ななし2じゃん!こんな所で会うとかビックリ!』
「そうだね、ちょっと用事でね!」

ななし2が少し離れた場所に待たせている人を指差せば、ななし2があー、と頷いた
ななし2は八戒と悟浄をチラリと見る

「あ、初めまして!ななし2です。ななし1がお世話になってます」

ななし2は笑顔で自己紹介をする

「初めまして、こちらこそななし1にはいろいろとお世話になってまして…」

八戒が丁寧に挨拶を返した

それを見たななし2はななし1を指で突いて、想像以上に好い人じゃん!と言うと、意味の分からないななし1が首を傾げる

「ななし1の彼氏はカッコよくて、誠実で、頼りになる人だって聞いてまして!」

「……え、?」

ななし2がキラキラと目を光らせながら八戒とななし1を見て言えば、やはり意味が分からない…と八戒とななし1がななし2を見る

「え、この人じゃないの…?」

『え?!違うよ、私の彼氏はコッチ!そっち八戒!』

ななし1は悟浄の腕を引っ張りギュッと掴むと、八戒があははと苦笑いを浮かべる

「あ、ごめんなさい!話から八戒さんだとばっかり…」

ななし2が何度も頭を下げる

そんなやり取りをしていると、コメカミに青筋を浮かべた悟浄がふるふると震えている


ーーななし2行くぞ!

タイミング良くななし2を呼ぶ声がすれば
じゃあまたね!と待たせている人の方へ走っていった
小さくなる影を見つめ、悟浄がななし1を見る

「どんな風に言ったのよ…」

怒りを何とか堪えて拗ねる悟浄

『かっこ良くて、誠実で、頼りになる人…』

「間違っちゃいねーけどよ!納得いかねぇ!」

「仕方ないですよ、世間から見たら僕の方がよっぽどかっこ良くて、誠実そうで、頼りに見えますから」

『八戒、…結構言うね』

悟浄の身体や頭にグサグサと刺さっている様に見える『カッコいい』『誠実』『頼りになる』という文字達

ななし1はそれを抜きながら、確かに言葉足らずだったかも…?と苦笑いする

「あはは、じゃあ僕は先に三蔵の家に行ってくるので、ななし1は悟浄を元気付けたら来てくださいね」

『えー!』

まるで逃げるが勝ちと言わんばかりに八戒が荷物を持って先に行く

残されたななし1と悟浄

『……悟浄…?』

「悪かったな、チャラそうに見えて」

『え、今は全く思ってないよ!』
「今はってお前…」

より落ち込む悟浄、ななし1が焦る

『……悟浄、私、嘘は言ってない。』

「…………あぁ…?」

『確かに見た目は八戒の方が誠実そうだし、そう見えちゃうかも知れないけど、私にとっての悟浄はカッコよくて、誠実で、頼りになるんだもん。』

だから、そんなに落ち込まないで

ななし1がそう言って笑うと、悟浄がしゃがみこんで大きくため息をつく

『…えぇ……悟浄、本当だってば…!』

「お前、一つ突け忘れてんぞ」

『…何を?』

「……『凄くセクシーな男』って。」

『…………………ぷっ、…あははは!!』

ななし1が大爆笑すると悟浄がムスッとして立ち上がった

「んだよ!こちとらマジで落ち込んだんだぞ!?」

『あははっ…そーだったね、悟浄は、カッコよくて、誠実で、頼りになるセクシーな男だね!』

目に笑涙を溜めながら言うななし1
少しばかにされている気がしなくもないが
そんなななし1を見て悟浄の口から笑いが吹き出す

そしてお互いしばらく笑うと
行こっか、と手を繋ぐ

『悟浄の良さは私が分かってればいーの!』

「間違いねぇ。」

ななし1は悟浄の手を引っ張って歩く
三蔵の家に着いても、笑いが絶えない二人でした


END

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