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拍手ネタ集

拍手4



「うっわぁー!!すっげぇ人だな!!」

「おいサル、はしゃぎすぎて迷子になるんじゃねぇぞ?」

「分かってるっつーの!!ガキ扱いすんなよ!!」

「はいはい、2人ともその辺にしておかないと、席が取れませんよ??」

「んじゃあ、さっさと席とってさ屋台見に行こうぜ!!!」

「あぁ、悟空…!!」

花見だ花見!と浮かれながら、人混みに消えていく悟空。
あっという間の出来事に、八戒はやれやれ、と言わんばかりの表情で肩を下した。

「んまぁ、お子様猿の教育がなってねぇな三蔵サマ?」

「放任主義なんだ、ぶっ殺すぞ。」

「もう悟浄も三蔵も…今日くらいは仲良く出来ますよね…?」

「…スミマセン。」
「……チッ」

チャキ、と三蔵の懐から音がするなり、いい加減にしろと言わんばかりに黒い笑みを浮かべた八戒。
悟浄も三蔵もこの黒い笑顔はヤバいと思ったのか、すぐに言い合いを止めた。

「もう、いつも騒がしくてすみません。」

『いえいえ!』

いつもの事ですから!!と、彼女は首をブンブンと横に振る。
良かったです。と言う八戒を見れば、そこにはもう黒い笑顔はない。


優しい笑みを浮かべている八戒に、彼女の胸がトクンと高鳴った。





「三蔵-!!!八戒ー!!!こっちに良いとこあったぞー!!!」

「おや、悟空が席を見つけてくれたみたいですね。」

「ひゅー♪たまには子猿ちゃんもイイシゴトするじゃねーか♪」

遠くでぴょんぴょんと跳ねながら、大声で叫ぶ悟空。
それぞれが悟空の元へ向おうとする中、彼女の元に手が差し伸べられる。


『…え、』

差し伸べられた手の主を見れば、深緑色の彼と目が合った。


「ここは人がとても多い場所ですから、迷子の予防です。」

爽やかな八戒の笑顔を見ると、胸がキュン、と抓まれたような気持ちになる。
トキメキを感じながらも、どこか子供扱いされた事が気に食わない。

『……八戒のいじわ、』

「と言うのは建前で、本当は貴女とこうしたかっただけなんですがね。」

『、!!!八戒って本当にいじわる!!!』

「えぇ!?僕、何か気に触る事でも言いましたか!?」


彼は策士なのか、鈍感なのか。
手の上で転がされてる様な感じが気に食わなくて、彼女は彼らが待つ場所へと足を速めた。

どれだけ早歩きでも、二人の手が離れることはない。










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拍手3


「ねぇー、お姉さんちょっとだけ手伝ってくれない??」

『へ??』

財布を片手に出店に向かう最中、彼女は後ろから声を掛けられた。
振り向くとそこには、全く面識のない男性が立っていた。

『何でしょうか…?』

「俺ら、向こうで飲み会やってんだけどさー、女の子が1人足らなくなっちゃってさぁ!!一緒に飲んでくんない??」

ただで飲み食いできるし!と笑顔で言われたが、その言葉に喜ぶのは悟空ぐらいだと彼女は思う。
それよりも、凄まじい勢いで飲み食いしてる彼らの元に、早く食べ物と酒を届けなければ。

『すみません、私も連れが待ってるので…。』

「え、連れって女の子??だったらその子も一緒に飲もうよ!!」

『え、いや…、』

目の前のは、女子会の様な花見を想像しているのだろうか。
残念、連れは食いしん坊猿とエロ河童と腹黒メガネと仏頂面の坊主です…。

そう言おうとした矢先、男が彼女の腕を掴んだ。

「まぁ、まずは俺らの場所まで案内するよ!」

『や、困ります…っちょ…!!』



人混みの中を無理やり引っ張られ進めば、時より彼女は転びそうになる。
三蔵達が待つ場所とは、かなり離れてしまった。


グイッ

『!!??』

急に彼女は進行方向と逆に体を引っ張られ、バランス崩した。
倒れる恐怖に目を固く瞑ったが、その感覚はやって来ない。

「ねぇーそこのオニイサン??」

『ご、じょ!!』

倒れそうな体は、悟浄の長い腕によって支えられていたからだ。

「俺の連れてナニすんの?」

「はぁ!?連れって女じゃねぇのかよ!!」

『私、そんなこと言ってない…、』

「あぁ!?黙れよブス!!」

「オニイサン、それ以上俺の連れを侮辱したら…タダじゃすまねぇけど?」

開いている片手で、男の胸ぐらを掴みながら言葉を放った悟浄。

「…ッチ!!二度と誘わねぇわこんなヤツ!!」

「おーおー、負け犬らしい逃げ方だコト。」

鋭い剣幕に怯んだ男は、蜘蛛の子を散らす勢いで走っていった。



『、悟浄、、』

「怖かっただろ、怪我はねぇか?」

心配で追いかけて来たけど正解だったぜ。と、彼女の頬を優しく撫でながら話す悟浄。
優しく甘い彼の声に、彼女の胸が高鳴った。

そして、悟浄の温かい手を優しく包み込むように握る。

『…悟浄…、』

「あん?」






悟浄の赤い瞳を見つめながら、彼女は言う。


『…エロ河童とか思ってごめん、』

「あぁんっ!!?」










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拍手1



『三蔵、桜がきれいだねぇ。』

「……あぁ。」

悟空を筆頭に騒いでいる3人を他所に、桜を見ながらまったりと過ごす三蔵と彼女。
時より春風が吹けば、散った桜が辺りを薄紅色に染める。

『…あ、三蔵、見て、桜の花びら!』

「……あぁ。」

湯呑の中には、舞い散った桜の花びら。
それを彼女は嬉しそうに三蔵に見せびらかし、キャッキャと一人騒いでいる。

『ね、三蔵!たこ焼き食べる?』

「……あぁ。」

『ソースとしょうゆ味あるけど、どっちが良い??』

「……あぁ。」

『……ちょっと三蔵。』

「…あぁ?」

三蔵が目を向けると、そこには眉間にシワを寄せ、膨れ面の彼女。
人の話を聞いてない!と小言を怒りはじめた彼女を再び尻目に、三蔵は煙草を口にした。


『っもう!三蔵ってば聞いてる!?いっつも聞いてないんだか…わっ、』

彼女の言葉は、突然の春一番にかき消される。
周りの花見客はもちろん、悟空や悟浄、八戒までもが突風に驚きの声を上げた。

春一番に舞い上げられた薄紅色が、水色の空を埋め尽くす。

はらはらと地面に落ちる景色の、なんと叙情的なことか。

『、びっくりした…、三蔵は大丈夫だった?』

風に遊ばれた髪の毛を手ぐして梳かし、笑う彼女。
隣に座る三蔵に目を向けると、無言で彼女に手を伸ばす彼と目が合った。

整った顔立ちが、神秘的なアメジストの瞳を際立たせる。

『さ、三蔵…?』

サラリ、と彼女の髪の毛をなぞる、三蔵の指。
骨ばった三蔵の指が頬に当たればその冷たさからか、彼女はビクリと体を震わせた。

「…おい。」

『な、なに…?』

彼女から離されてた三蔵の手。
ほら、と言わんばかりにその手を見れば、指が持つは薄紅色の桜。

『あ、取ってくれたのね…、ありがと、』

「何だ、やましい事でも考えたか?」

『っ!?』

三蔵がニヤリと笑えば、彼女の顔はたちまち真っ赤に染まっていく。

『もーっ、カッコいいとか思って損した!』

「ふん、何とでも言え。」

赤面しながら唸る彼女を他所に、三蔵は煙草の煙を胸一杯に吸い込んだ。
そしてゆっくりと煙を吐きながら、彼女に向かって囁いた。

「…………綺麗だな。」

『え、?』

それは桜に対してか、それともーー

今の彼女には、それを問いただす勇気がなかった。










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拍手2




「あの屋台のおっちゃんに、5人座れるとこ聞いたんだ!!そしたらおっちゃんがここが良いって!!」

『良かったね!』

満開の桜の木の下、レジャシートを広げながら花見の準備を行う彼女と悟空。
彼女が場所の発見と確保をした悟空を褒め称えれば、彼は照れ臭そうに喜んでいる。


「でも…」

『ん?』

「ここ、屋台が遠いから買いに行くのが面倒なんだよなぁ。」

『っあはは!!』

落ち込んむ謎の理由に、それも悟空らしいと彼女は笑う。


『…よし、終わり!悟空のおかげで早く準備が出来たよ!』

「へへっ!後は八戒と悟浄が食い物買って来たら花見が出来るな!」

『そうだね!あ、悟空ひざ掛け取ってくれる?』

「オッケー!よっと…これでいい?」

『ありがとー♪』

ひざ掛けを渡す際、悟空の手が彼女の指先にちょこんと当たった。
彼女の指先のあまりの冷たさに、悟空は目を丸くして驚く。

「大丈夫か!!手めちゃくちゃ冷てぇぞ!!??」

『えっ、冷え性だから…かな?』

急に両手を掴まれ、悟空と同じく目を丸くして驚く彼女。
悟空は「はー、」と温かい息を彼女の手に吹きかけ、自分の手で彼女の手を擦りながら温めていく。

どうしたもんかと彼女が周りを見れば、まったりと煙草を吸っている三蔵と目が合った。

『ちょ、悟空!恥ずかしい!』

「…恥ずかしいってさ、どーゆー意味?」

『どういう、いみ?』




「……その…、えっと…、」

悟空の手の熱が、彼女にドクドクと伝わる。
頭の中で何かが爆発でもしたのだろうか、言葉に詰まっていた悟空は頭をブンブンと振る。


「俺も1人の男として見られてるのかってコト!!」

『!?』

「そっちの意味での恥ずかしいだったら、俺…」

金色の瞳が、彼女の瞳を捕らえて離さない。
悟空の真剣な表情に、彼女は静かに息を飲んだ。


「オーイ、チビ猿ちゃーん。食わねぇなら食っちまうゾー。」

「っ!!??ご、悟浄!!??」

2人がハッと振り返ると、そこには料理を両手いっぱいに抱えた悟浄の姿。
戻って来たならそう言えよ!と顔を真っ赤にしてる悟空。

「お前が自分の世界に入って俺らの声が聞こえてねぇだけだろ??なぁ??」

『えっ!?』

悟浄は彼女に賛同を求めたが、彼女は言えなかった。
あまりにも真剣な悟空の表情に見とれ、自分もその世界に入っていたなんて。


彼女の指先は、耳まで赤い悟空と同じ温度になっているのだ。




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