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悩める怪我と快楽編



ヒヤリと汗が流れるのを感じる。

天竺へ向かう道中、一行は妖怪の群れと対峙していた。
非戦闘員のななし2とななし1は、ジープを背中に退避するタイミングを伺う。

―――でぇやっ!!!

―――はぁぁあ!!


三蔵一行の四人は、それぞれ妖怪を殲滅すべく己の武器を手に戦っている。
ガウンッと三蔵の銃声が響けば、脳天に穴が空いた妖怪が血飛沫を上げて倒れていく。

(いつ見てもエグいなぁ…)

顔をしかめるななし2達非戦闘員とそんな中、二人の背後にユラリ、と動く一つの影。
視界の隅に影を捉えたななし2が振り返れば、一人の妖怪が勢いよく二人に向かってくる。
悲鳴を上げるななし1に、三蔵達は振り返る。

「ッチ…!!」

ななし2は咄嗟にななし1の肩を強く押した。尻餅を付くように地面に倒れるななし1の上を、ジープを飛び越え襲ってくる妖怪が通る。
妖怪が振りかざしたナイフが、頭を庇おうとしたななし2の腕をザクリと切る。

「ッッッ……たぃ…!!」

熱い痛みと衝撃に倒れ込んだ。

長い舌を舌なめずりする妖怪が、倒れたななし2に再度刃物を振りかざす。

「ヒャッハー!!死ねぇ!!!」


―――ヒュン…グシャッ


血だらけの腕で再度庇おうとするななし2だったが、
再度彼女の腕に傷が付くことは無かった。
グッと瞑った目を開けば、先程の妖怪が血を流しながら地面に伏せている。


「おい!ななし2!!大丈夫か!!!」


駆け寄ってきたのは悟浄。地面に膝をついてななし2を起こす。
彼女は悟浄が先程の妖怪を倒してくれたのだと直ぐに理解した。大丈夫、と一度だけ強く頷けば、険しい顔つきの悟浄は立ち上がる。
いつの間にかななし2とななし1は妖怪に囲まれており、相手をするぜ。と悟浄は吸いかけの煙草を指で弾き飛ばす。肩に担いだ錫月杖が、自由に宙を舞う。



――――――



「大丈夫ですか!ななし2さん、ななし1!!」

あらかた片付きましたと八戒が駆け寄ってきた。
止血をしようとななし1に支えられ、自身の腕を強く握るななし2は、顔色が青白い。
八戒はななし1にそのまま支えて下さいと頼めば、気功術でななし2の傷口を塞ぎ始めた。



しばらくして、敵を全て殲滅し終わった皆が、ジープに戻ってきた。
ケガを心配する悟空に、ななし2は意識が朦朧とする中答える。心配そうにななし1がななし2の身体を支え、ジープに乗り込ませる。
一行がそれぞれ心配する中、悟浄はまだ険しい顔をしていた。


「…おい八戒、町まで運転変われ。」
「えぇ??悟浄、貴方何を言ってるん…」
「お前は後ろでななし2の手当てをした方が良いだろ。早くしろ…!」


イライラしているのかとでも聞きたくなる悟浄の口調に、言われるがまま運転席を譲った八戒は後部座席に乗り込み、引き続きななし2の手当てに勤しむのだった。


―――――――――



車を走らせて数時間、一行は町に着いた。

急いで宿を取り、部屋でななし2を休ませる。
部屋のベッドに座る彼女の腕には包帯が巻かれている。八戒にありがとうとお礼を言えば、彼はホッとしたように息をつく。


「………さて…これから買い出しに出なければいけないのですが…」

次の町まではかなり距離があるから、多目に買わないと。と困った様に八戒が言うのだ。
途中で飢える事がないように、日数分を計算して買えばかなりの量になる。人手が欲しい。と、訴える。しかしななし2の事も心配だ。

「あれ、悟浄どこ行くんだ??」

「わりぃ、…ちょっと外出るわ。」

誰かが看病をした方が良いと話す一行を他所に、悟浄が一人で宿を後にする。こんな状況で、ただでさえ人手が足りない中、一人勝手に出かける悟浄を八戒は険しい顔で見つめる。

「八戒、私は問題無いから皆で行ってきて。ちょっと疲れたから寝たいし、夕御飯を皆で食べれたらそれだけで嬉しいよ!」

そんな八戒の黒いオーラを感じ取ったななし2は、気まずくならない様にと八戒に取り繕う。
いつもと違う悟浄の様子は彼女も感じており、夕食は皆で宿で取ろうと彼女が話せば、眉毛を八の字に曲げた八戒が今回ばかりはすみません、と町へと出掛けていく。ななし2は、急いで戻りますと言い残した彼等を見送り、一人ベッドに寝転がった。


一人きりになれば、枕に頭を預け、物思いにふける。
今日の出来事が怖くなかったと言えば嘘になるが、それよりも一番に駆け寄ってくれた悟浄の事を思うと胸が熱くなるのを感じていた。
ななし2は、自身の胸が熱くなる理由を分かっている。彼の事を思えばとても温かく、少し切ない気持ちになった。
それにしても、先程の身勝手な行動はどうしたのだろうか。らしくない彼を案じながらも、緊張の糸が切れた様に彼女は目を閉じ、夢の中へとゆっくり誘われていくのだった。



―――――


物音して起きると、そこには悟浄がいた。
時計を見れば、まだ一刻も経ってない。ななし2の近くに来ては、腕に抱えた紙袋をそっと下ろす悟浄と目が合った。咄嗟に、睨む様にななし2を見返す悟浄。

「、悟浄、なにかあっ「……ワリぃ、ちょっと疲れたから俺も部屋で休むわ。」

「……………、そぅ……。」


ななし2が話しかけようとすると、会話遮ってまで部屋に戻ると言う悟浄。それ以上なにも言えなくなった彼女と、そのまま背中を向けて部屋を出ていく彼。
その背中を見て、やはり、らしくない、と自身の腕を擦った。


(……なんか、嫌だな………)


―――――――


夜ご飯は、ななし2の希望通り、全員でテーブルを囲んだ。
しかし、八戒とリサコはツッコミこそしないものの、いつもと違う雰囲気に少し頭を傾げる。


横並びのななし2と悟浄の間に、悟空。


普段であれば、悟浄とななし2はほとんど隣同士で食べているのに、今日に限って違うのだ。
空気が重たいだとか、険悪な雰囲気は無いのだが、違和感が凄い。
ななし2は悟空とあれが美味いだの、悟空が怪我したななし2の皿におかずをじゃんじゃん運び、和気あいあいとしている。
もちろん悟浄も悟空とおかずの取り合いは勿論、一緒にメニューを見ては追加注文をして三蔵に呆れられている。
肝心なのは、悟浄とななし2の会話が全くと言って無い事だ。

そんな二人を八戒とななし1は不思議そうに見る。ふとお互い同じ事を考えていると気付いた二人は、目線で会話をすると、何事かと二人して頭を傾げるのだった。


―――――――


チューハイが喉を通り、熱くなった身体によくしみる。
ななし1は風呂上がりの逆上せた身体を冷やしながら、今日ななし2に突き飛ばされた時に出来たアザを擦った。八戒には手当てをしてもらってはいるが、少し押すと地味に痛いそれに、ため息をつく。

二本目を飲もうかと迷っていると、悟浄が煙草のストックを取りに来た。相変わらず険しい顔をしていた悟浄を横目に口を開く。


「…、悟浄なんかあったの?」

「んぁ?…まぁ…なんかっーか、あれだな。」


言葉を濁した悟浄にふーんと言いながら二本目のお酒に手をいれる伸ばす。
一緒に飲む?と尋ねたななし1に、悟浄はあぁと小さく返事をして椅子に座った。
悟浄は開けたばかりの煙草に火をつけて、胸一杯に煙を吸う。


「「…………………………。」」


しばらく二人は会話をする事なく、ただテレビのバラエティ番組の音だけが居間に響く。
そろそろ二本目も半分程飲んだところで、ななし1が口を開いた。

「ななし2と、何かあったの?」

少し心配、とななし1が言えば、悟浄は図星とでも言うかの様に、開けたビール缶をグイっと飲み干して息を吐いた。

「…………アイツ、怒ってねぇかと思ってよ。今日の事…。」
「なんで??」
「だって殺されかけたんだぜ?普通だったら助けてだとか、もっとしっかりしろだとか、言って来そうなのによ、なんっか、アイツと俺の仲なのに水臭ぇつーか、心がすっきりしねぇっつーか、」


腑に落ちないんだ。とゴチながら二本目のビールを開ける悟浄の言葉に、ななし1はチューハイを片手に耳を傾ける。
そっか、と口を開いて彼女は悟浄に言った。

「そう思うって事は、悟浄はななし2にもっと頼りにして欲しかったんでしょ?」
「まぁ……………そうだな。」
「それって、悟浄はななし2の事が好きだからそう思うの??」

『好き』と言う単語に悟浄の表情が少し固まった。その顔を見た彼女は、そっか。とゴチて言葉を続ける。

「ななし2はどうか分かんないけど、私だったら怖い思いした時には、好きな人が側にいてくれたら嬉しいな。二人だったらもっとトクベツになれると思ってたんだけど…。」

良いなぁ、ななし2は。と微笑みを浮かべたななし1の話を聞き、悟浄が少し考えた後に席を立った。

「ななし1、ありがとな。ちょっとななし2の顔、見てくるわ。」
「うん、行ってらっしゃい!」

急ぎ足で部屋に向かった悟浄にニヤケながらななし1が言った。



――――――



深呼吸をし、ななし2の居る部屋のドアをノックする。
直ぐに返事が帰って来てきたものだから、悟浄は再度深呼吸をして部屋に入った。

「あれ、悟浄じゃん?どうしたの?」

思わぬ来客に驚き顔のななし2が言う。

「よぉ…その、腕の調子はどうだ?」
「ん?これね、八戒が手当てしてくれたから傷は平気だけど…貧血気味だね。」

いつもと変わらない態度の彼女に、悟浄は少しホッとした。
彼女の姿を見れば、先程風呂に入っていたのだろう、まだ濡れている髪が、身に纏う浴衣の肩部分を濡らしていた。
悟浄はベッドの縁に膝を着くと、こんなんじゃ風邪ひくぞと、彼女の持っていたタオルで髪の毛を拭いてやる。ななし2がありがとうと礼を述べれば、悟浄は小さくあぁと答えたのだった。



「…………………」

「……………、………」



わしゃわしゃと黙って髪を拭く悟浄と、ただただ拭かれるななし2。


二人の間には会話が無く、ただ時計の針の音だけが響く。



「……………助けてやれなくて、悪かったな……」

「……なんで?一番最初に駆け寄ってくれたじゃない、」

無言を打破したのは、悟浄だった。
突然の謝罪にきょとんとしたななし2が、悟浄の顔を見る。

「そうじゃなくてもよ、そもそもケガさせるべきじゃないだろ、こんなの。」

「…でも、危険な旅だって分かった事だから仕方ないし……、大体、悟浄はなんでそんな不機嫌なの??」
「それはお前の事が!…心配だったからに決まってんだろうが…!!」

ななし2の肩に置いた手に力がこもると、彼女は痛みに顔をしかめた。それを見た悟浄は我に返り、手を離すと彼女と距離をとる。



「……私は、今日、悟浄が一番に駆け寄ってくれたの、嬉しかったけどな…。」


少しばかりの間をおいて、負った傷を擦りながらななし2は口を開いた。
何時もは見せない、少し赤らめた表情をする彼女に悟浄は目を見開く。


「……そんな事言ったら…勘違いすんだろ……」
「……勘違いさせる様に言ってるんだけど……?」

分からない?とわざとらしく上目遣いで聞いてくるななし2。そのまま瞳を伏せると、苦笑しながら言葉を続ける。

「…今日、悟浄…ご飯の時にしれっと悟空を間に挟むから…嫌われたかと、思った。…私は…貴方の事が、好きだか…」

最後まで言葉言い切る前に、ギュッと彼女を抱き締める。そのままななし2の頭を大きな手で支えて顔を話せば、悟浄の赤い瞳とななし2の瞳が見つめ合った。

「…こうなったら、止まらなくなるぞ…?」

少し揺れる彼女の瞳を逃さない様に低い声で言えば、困った様に笑う彼女は頬の傷を優しく撫でて口を開く。

「……ここで止める様な…意気地無しは好きじゃない。」


その言葉を合図の様に、ななし2の頭を引き寄せれば、自然とお互いの唇が触れ合う。角度を変えてキスをし合えば、舌を入れて激しく絡め合った。
頭を支えられたななし2は、満足に息が吸えない状態で押し倒される。悟浄の首に腕を回せば、お互いついばむ様に口付けをし、ななし2のはだけた浴衣から見える尻から太ももを、悟浄のゴツゴツした手が撫でる。


まさぐられる感覚に、切なそうに吐息を吐いた。悟浄は何度も確認する様に口付けをしながら、ななし2の浴衣を脱がせて下着姿にする。
ななし2も悟浄のタンクトップを脱がせば、カチャカチャと悟浄が自身のズボンのベルトに手をかけた。そのままお互いに下着姿になれば、悟浄はななし2の首筋に顔を埋め、首筋を唇で強く吸った。

くすぐったい様な、チクリと痛い様な感覚にななし2が肩をせぼめれば、悟浄は少し浮いた彼女の背中に手を回してブラホックを外す。
少し弛みをもったブラの隙間に手を入れれば、さらに甘い声を上げた。

そのまま乳房に舌を這わせれば、ななし2はビクり身体を震わせた。
あまり声を出さない様、自身の口を手の甲で押さえるななし2だが、悟浄はそんな彼女の手を掴むと自身の一物を彼女に触らせる様に誘導した。
下着越しにでも勃起している事が分かるソレに、息を飲んだななし2。そんな彼女の額に優しく口付けをし、怖いか?と聞けば、彼女からは困った様に笑みを浮かべ、首を横に振る。



ななし2の下着脱がせ、自身の下着も脱いでしまえば寒くないように…と悟浄はタオルケットをかけてやる。
仰向きになりながら膝を立てるななし2の足を少し開かせ、直接局部を触る。
キスだけでも興奮していたのか、ソコはしっとりと濡れていて、悟浄の指は誘われていく。 中指が根元まで入れば、甘い吐息を吐くななし2。
寂しそうにしている乳房に再度舌を這わせば、小さく喘いだななし2の窒が悟浄の指キュッと咥え込む様に締まった。
舌なめずりをする悟浄は、薬指を増やし、二本でななし2のナカをまさぐる。


「…っぁ、あっ……あぁん…」

彼女が良い声を出すポイントを責め続ければ、顔を少し紅潮させたななし2が悟浄にストップをかけた。イキそうだったのか、息を切らしながら悟浄を見つめて口を開く。


「……悟浄のが、欲しい…」


悟浄はゴクリ、と息を飲むと、ななし2の局部に自身の一物を優しく宛がう。すでに濡れているソコの入り口を探す様に、一物で小さく円を描く。
そして亀頭とソコがキスをしたかの様な感覚があれば、悟浄はゆっくりと腰を沈めていく。最初は小刻にピストンをすれば、徐々にななし2のナカが悟浄を受け入れ、少しずつ、ゆっくり根元まで挿いる様になる。
ようやく根元まで入ったところで、悟浄はななし2の額にチュッとキスをした。


「…痛くないか?」
「……うん、」


少しずつ、腰を動かす悟浄。
先程感じていたトコロを責めれば、ななし2は切なそうに甘い声を出す。


「…ご、じょ…ん、待って…ぁ、イッちゃ、う…」
「ッ…イッて良いぞ…?」
「んぁっ、や、まだ、悟浄と…ぁん、してたいから、ヤダ…!」

「〜〜〜っ!!!」


普段は女傑の様な存在のななし2が、自身に組敷かれ、こんなにも女性らしく甘えてくる事に悟浄は興奮を抑えられない。
腕の怪我なんてお構い無しに、ななし2の両手を掴み激しく腰を動かす。
少し痛みに顔を歪めたななし2が指で悟浄の手に触れれば、息を荒くした悟浄は手をスライドさせ、ななし2の指と自身の指を絡め合ってくれる。

「はぁんっ……あっ、きもちい、ぁっ…悟浄っ…」
「……くっ…溜まってるから、そんな煽るな……!」

ななし2のイイトコロを重点的に責めれば、悟浄にしがみつく様に足を絡めて抱きついた。

「…!!……ゃ、ダメっ、あぁ、イッちゃうっ、イク……!!」


身体がビクンッと震えたら、悟浄は奥まで挿れて腰を動かす。自身のカリでイイトコロを最後に責めてやれば、ビクビクと腰を浮かせて痙攣するななし2と窒内。

「……クッ……出る…ッ!!」

最後にずっぷりと一物を根元まで入れて果てる悟浄。ドクンドクンと、ななし2の窒内で脈を打った。


―――−−−


悟浄はななし2に覆い被さり、お互いハァハァと息を切らす。
まだ快楽残っているのか、時よりななし2が小さく喘ぐ。
どちらからともなく、目が合えば悟浄とななし2は唇を合わせ、舌を絡め合う。
キスをしながらズルリ、と悟浄は一物を引き抜けば、唇を防がれたななし2が小さく声を出した。

チュッと音を立てて離れた唇。お互いが見つめ合えば、悟浄は視線を下にやる。片手で視線の先のコンドームを外せば、入り口を結んでゴミ箱にポイと放り投げる。
我ながら大量に出たもんだ、と悟浄が一人ゴチた。


余韻に浸り、ベッドに寝転ぶななし2。
ティッシュで局部を拭いてやれば、やはり小さく喘ぐのだった。


そのまま後処理をし終われば、悟浄もベッドに沈む。
隣でまったりと寛ぐななし2を抱き寄せれば、悟浄は深くため息を付いた。首元にかかる息に身体を捩らせながら、ななし2はため息を不満なのかと問いただす。

「いんや、セックス終わりに煙草吸わないの初めてだわ、オレ。」
「え、今言うの?それ?」

「ばぁか、そんだけヨカッタってことだよ。」

悟浄のゴツゴツした指がななし2の額をツンとつつく。


「…な〜んかちっぽけな事で悩んじまったなぁ…」
「??」

「好きな女にはもっと行動と態度で出しときゃ良かったんだよ、人に童貞だとか言えたもんじゃねーな。」

どこかの坊さんみたいによ、とダルそうに言う悟浄を、ななし2はクスクスと笑うと悟浄の首に腕を絡ませる。

「街中の美女にも、そーゆー感じなの??」


ななし2が少し呆れたように言えば、悟浄は彼女の両頬に手を添え、額と額をくっつける。
二人の目と目が合うと、悟浄がニヤリと口端を上げて笑う。

「いんや。しばらくはお前しか目につかねぇな。」

そのまま再度唇を合わせ、身体お互いの身体を強く抱き締め合う。

もう一回デキるけど…?

悟浄がななし2の耳元で、こう囁いた。


―――――――



朝、ぞろぞろと一行が居間に集まってきた。

お腹を空かした悟空がななし2に怪我の具合を聞けば、もう大丈夫と笑顔で返す。
あとは悟浄だけですね、と小さくため息をつく八戒が腕の包帯を変えてくれると話せば、ななし2は椅子に座って腕を出した。ななし1が新しい包帯を
持ってきては、八戒に渡す。


八戒はふと、巻かれる包帯を見るななし2の顔を見た。少し俯いたななし2の首元に、赤い跡。

「………ななし2さん、首元が赤くなってますよ??」

「あれっ!!ホントだ!虫にでも刺されたのか??」

「なになに〜??」

八戒の後ろから顔を覗かせた悟空とななし1。
ななし2の首筋を見たななし1がにまにまと笑みを浮かべる。

「えーっ♪もしかしてななし2、悟じ」
「ななし1、それ以上は駄目ですよ??」

振り返った八戒が、にまにま笑うななし1に制止をかける。ごめんなさ〜いと笑う彼女と、何事か
と不思議そうに首を傾げる悟空。ななし1に聞けば笑いって首を振るだけで、八戒に聞けば何でもないですと笑うだけ。

そんなタイミングで、起きたばかりの悟浄が居間に来た。

「悟浄!!ななし1がななし2を見て笑うんだ!何でだ!?八戒理由教えてくれなくてさぁ!!」

「あぁ…?なんだそりゃ…?」


ふぁ、とあくびをした悟浄に聞く悟空。
見れば、皆して悟浄を見ている。
一番奥に座るななし2と目が合えば、悟浄と目が合うなり眉間にシワを寄せて首元を手で隠す。あぁ〜と彼女から目を反らせば、彼女の手前にいる八戒が実ににこやかな笑顔で悟浄を見ていた。

「悟浄??少しお話があります。」

包帯を巻きおわった八戒が、悟浄の首根っこを捕まえて居間から出ていく。

「悟浄可愛そうww」
「だから、なんなんだよ〜!!!」

悟空の大声がこだました。


end

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