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天然記念物と小話編







「お〜い、ななし1、ななし2!!そろそろ出発するってよ〜!!」

大声で手を振る悟空を見て、少し離れた場所に居たななし1とななし2はジープに向かって歩き出す。

「ねーななし2、どうやってジープに乗る?」

ザクザクと道を歩きながら、ななし1はジープを指差してななし2に聞いた。
既に三蔵は助手席に座って居るし、八戒も運転席に乗り込もうとしている最中だ。
入り口はその二つしか無い中で、どう乗るのかを聞いていたのだ。
聞かれたななし2も、そうだなぁ…と顎に手を置いて考える。


「………三蔵はもう乗っちゃてるし、跨ぐのはキツいよね。」
「え?三蔵を跨ぐのは、無理だよ…??」


ななし1はななし2を見て真顔で答えた。

彼女の答えの意味が分からないななし2も、真顔でななし1を見る。



「「………………????」」



お互い何かが、ズレている。



「……あ、違う…ジープの後ろから跨ぐの!!」

「…あ、そっちね!?」

"三蔵を"跨いで乗ると勘違いした事に気付き、ななし1の天然発言に慌てて"悟浄達みたいにね!?"と訂正するななし2に、ななし1はびっくりした様に丸く目を開く。

「……じわじわ来るから、やめて…!」

笑いを耐えようと震えるななし2の言葉に、ななし1は自身が恥ずかしくなり、赤面した顔で負けじと反論をする。

「アンタの言い方が悪いんでしょ!?」

「、ごめんごめん…あはははっ、ダメ…お腹痛いっ…!!」

笑いが我慢出来ず、お腹を抱えて笑い始めるななし2に、ななし1もどんどん釣られて笑ってしまう。
ジープに着く頃には、お互い苦しそうにお腹を抱えて笑っているのだ。

「行きますよー??」

「……ほれ、手ぇ、捕まれよ。」

八戒の声が聞こえ、震えた声ではーい、と返事をする二人。
ななし2の言った様にジープの後ろに回れば、ジープのリアバンパーを跨ぐ為に、悟浄と悟空が二人に手を差し伸べてくれた。彼等の手を取りながら、よいしょ、とジープの後部座席に乗り込む二人。

「……よかったじゃん…」

ななし1がぼそりと呟けば、隣に座るななし2はまだ声を殺して笑っている。

「何か面白い事でもあったんですか?」

「……いや、ププッ…天然記念物が、牙を剥きまして…あははっ、思い出しただけで、もう…っ」
「ちょ!!やめてよ恥ずかしい…!」

再度お腹を抱えてうずくまりながら笑うななし2を、ななし1がぺしっと叩く。何がそんなに面白いのかと悟浄が聞くも、ななし1は何でもない!と赤面してはぐらかすだけだった。

「あはは、本当に二人は仲が良いんですね。」
「…笑うのもイイけどよ、落ちないように気を付けろよ??」

「じゃあ、出発しますよ!」


ブロロ、と音を上げて、ジープは走る。

秋晴れの空は暖かい。バタバタと風を切って走る身体は少し冷たくとも、過ごしやすい1日になりそうだ。


ーーーーガタンッ

「ギャン!!………舌、噛んだ…………」

「あははははは!!!さっき私を笑ったバチが当たったんだよ!!!」

バックミラーに映る楽しそうな彼女達を見て、今日も絶好の旅日和ですね。と八戒が笑うのだった。



end

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