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一致団結

宿屋の前に座り込むななし1と悟空と三蔵
八戒と悟浄が宿の交渉をしているのを待っていた

四日ぶりに町に着いた一行は、これで野宿生活から
おさらば出来ると安堵していた

「腹減ったー!メシ食いてー!」
『お腹空いた!お風呂に入りたい!ベッドで寝たい!』
「……うるせぇ…」

騒ぐ二人にハリセンを出す気力もない三蔵
八戒と悟浄が宿屋から出てきた

「すみません、遅くなりました。
部屋、取れましたよ!一人部屋に四人部屋です」

行きますよと八戒に言われぞろぞろと着いて行く
八戒から鍵を受け取り部屋に入るななし1

夕飯までには時間があるし、先にお風呂入ろうと
ななし1は服を脱ぎ始めた

ーーコンコン

「あのー、タオルを置き忘…」
『………あっ…』

部屋に入ってきたのは宿屋の従業員で、紅孩児にどことなく似た青年だった

下着姿のななし1に彼はすいませんでした、と慌てて部屋を出た
ななし1もビックリして目を丸くしていた

(……あ、見られた?!)



夕飯も終わり宿に戻る五人
部屋の近くまで行くと、彼が部屋の前に立っていた

「ななし1の部屋の前で誰か立ってるぞ!」
悟空が気が付き指を指す
ななし1はさっきのと口を滑らす

「さっきの?何かあったんですか?」
『いや、ちょっと…ね』

まさか下着姿を見られました、なんて言える筈もなく笑って誤魔化す

向こうもこちらに気が付いて歩いてくる

「先程は、すいませんでした!てっきり男、五人だと思っていたので…」
『いや、私も、鍵閉めてなかったから、お互い様って事で…』

だから、気にしないでと笑顔を見せると彼も笑顔を返した


が、後ろの四人からの視線と微妙な空気に顔が引きつる
早くこの場を逃げ出したい気持ちになるななし1

「それじゃ、おやすみなさい」

そう言って彼は帰って行った
ななし1はじゃあ、私も…と四人から逃げようとしたが、
三蔵に肩をガシッと掴まれた

「待て、話がある」
「ちゃんと説明して頂けますよね?」

その後、ななし1は四人にさっきの出来事を説明し
三蔵からハリセンを食らうのでした


ーーーーーーーーーーーー


野宿の疲れとジープの休養にと、もう一泊を決めた一行

ななし1は買い物がてら町を散策することにした
すると、彼が前から歩いてくるのがわかった
たくさんの荷物を抱えて歩く姿にななし1は思わず声を掛けた

『あの…大丈夫?少し持とうか?』
「え?あ、昨日の…大丈夫です」

ななし1は無理矢理、彼の持っていた紙袋を一つ持って歩き出した

『私も帰るところだったから、一緒に帰ろ?』
「ありがとうございます。あ、お昼一緒にどうですか?」

荷物のお礼と昨日のお詫びに、と彼から誘いを受ける
ななし1はせっかくだし、と彼の誘いを受けた

荷物を宿まで運び一旦、部屋に戻る
四人部屋へ行き、ドアをノックする
八戒が顔を出してななし1はお昼は別行動するから、
と伝えて宿を出た

八戒が、部屋に戻ると悟空が

「なー八戒、ななし1何だって?」
「それが…お昼は別行動するって」
「…別行動だと?」
「オィ、まさか、昨日の奴とか?!」

((((…気になる))))

四人は一斉に立ち上がった



ななし1は外で待つ彼に声を掛け、二人は歩き出した

話をしてみれば案外、気さくな人で会話が弾む
出会いは最悪だったが、いい友達になれそうと思うななし1

彼がもうすぐだよ、と指を指してお店を教えてくれた
ななし1も楽しみと彼を見て笑う
早く行こ、とななし1の手を握り歩く二人の姿に




「……撃っちゃいます?」
「あんにゃろー、手ぇ、繋ぎやがって!」
「ななし1も満更じゃ、なさそうだぞ?!」
「…オイ、八戒、撃て」

ななし1が心配だ、と後を付けた四人
建物の影からコッソリと壁に手を付き覗く悟空と悟浄
その後ろに笑顔で何故か銃を持つ八戒に
ハリセンを肩に置いてタバコを吸う三蔵

「あはは…僕たち、何やってるんでしょう」



END

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