×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -




ハンドクリーム


『八戒の手、カサカサじゃん!』

夕食が終わり、後片付けも終わって、部屋へと戻る途中ななし1は八戒の手を見て声をかける

「そうですねぇ、いつも水仕事をしているのは僕ですから…」

最近は、ななし1のお陰で減りましたけど、と
眉を下げて笑う八戒にマジで主婦だな、と思うななし1は部屋で待ってて、と八戒に告げて小走りで自室へと入って行く

お待たせ、と戻ってきたななし1の手にはハンドクリームが握られていた

「何をするんですか?」
『ん?手、カサカサだから塗ってあげる!』

部屋のソファーに座り、ななし1はハンドクリームを自分の手に出して馴染ませながら八戒の手に塗り始めた
八戒はその光景を見ながら、ななし1も女子なんだと再確認した

『今、私の事を女子だな、とか思ったでしょ!』
「おや?バレちゃいました?」
『私は元から女子ですー』

口を尖らせ拗ねるななし1にすみません、と謝る八戒
ななし1は出来たよ、と言って手を離す

『これから毎日塗ってあげる!
どうせ八戒は自分の事だと、後回しにしてやらないでしょ?』

ニカッと笑うななし1にドクンっと心臓が跳ね、視線を反らせなくなる八戒


『八戒?どうしたの?』
「あ、いや、何もないですよ」

八戒はななし1の声に我にかえる

『このハンドクリームいい香りでしょ?私、この香り好きなの!』
「いつもななし1からいい香りがするな、と思っていたらハンドクリームだったんですね、僕もこの香り嫌いじゃないです」


『よかった!じゃあ、また明日ね!おやすみ』

部屋を出て行くななし1に
おやすみなさいと返事を返してドアが閉まるまで見送る
そして八戒はななし1にさすられた手を見つめる

部屋に広がったハンドクリームの香りと熱を持った自分の手に少しだけ特別な感情が芽生えた



END

[ 35/76 ]

[*prev] [next#]