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貴方の手



久しぶりに宿が取れた事もあり
のんびりと過ごす三蔵御一行

部屋割りは
2人部屋に三蔵と悟空
3人部屋に八戒、悟浄、ななし1

悟浄はいつもの様に町へと出てしまい
今は八戒と2人っきり

ななし1と八戒はお互いに好きな時間を過ごす
そんな中、先に声を出したのはななし1だった

『ねぇー八戒、眉毛整えてくれない?』

ななし1は机に肘をつき、向かいで本を読む八戒にそう告げた
八戒は本からななし1へと目線を移動させ少し驚いた顔でななし1を見る

「え、今なんて…?」
『だから、眉毛整えてほしいの!
自分じゃ上手くできなくて…
八戒そーゆーの得意そうだし!』

ななし1は自分の前髪を手で持ち上げ、八戒の前に立つ

「どうして僕なんですか?
1人で出来るでしょう?」

八戒は読んでいた本を閉じて少し呆れた様子でななし1を見た

『だってぇー綺麗に左右対称にならないし、
メガネ外すと見えないもん!』

ななし1は少し拗ねたような口調で答え
早く早くーと急かすと八戒は大きなため息をついた

「失敗しても知りませんよ
人になんてやった事ないんですから」

ほら、ここに座って目閉じて
動かないで下さいよと自分が座っていた場所に座ら目を閉じたななし1を見つめる

大きく深呼吸をして覚悟を決めた様に八戒は手を動かした

(ひゃぁ…顔、近い近い!
頼んだは私だけど、ダメだぁ…ヤバい!)

『はっ…八戒!あの…』

あまりの恥ずかしさに耐えられず
声を出すななし1

「今は話さないで下さい、
間違えて全部なくなっちゃうかも」

クスクスと笑う八戒に全身が熱くなるのがわかった




あぁー…八戒の手好きだな
ゴツゴツしてるけど優しくて温かくて…
ずっと触っていて欲しくなる



「ななし1、終わりましたよ」
『へ…あ、』
八戒の事を考えるいるとその本人の声がして
ななし1は変な声が出た

どうですか?と八戒から手鏡を受け取って
確認をする

『ありがとう!
やっぱり、八戒上手だよ!
頼んで正解だった、ありがとう』

ニコニコと笑うななし1を見て
それはよかったですと八戒も笑顔を返してくれた

「ところで、
何を考えていたんですか?」

さっきと違う笑顔をしてる八戒
上げていた前髪を直しながら
なんの事か?と誤魔化すななし1を真っ直ぐ見つめる

『えっと…それは…その』

オロオロとするななし1は、まさか八戒の事考えてた、なんて言えるはずがない
目を泳がせながら咄嗟に思いついた嘘をつく

『あ、明日の朝ごはんは何かなぁって考えて』
「悟空みたいなこと言わないで下さい
それで誤魔化せるほど僕は馬鹿じゃありませんよ」

八戒はななし1が喋り終わらない内に言葉を返す
そして未だ目を泳がせるななし1にニッコリと笑顔で見つめる


『はっ…八戒の事考えてたの!
私は八戒の手が好きだなって…
ゴツゴツしてるけど優しくて、もっと触って欲しいって思っちゃうの…』



って、言えねぇー!!恥ずかしすぎる!
ななし1は目を瞑って頭をブルブル振る
すると笑い声が聞こえた

「アハハ、ななし1は見ていて飽きませんね
少し苛めすぎました、すいません」

あ、お茶入れますねと離れていく八戒
ホッとするのと同時に寂しくなる

(なんで素直に言えないんだろ…
私ってホント可愛くないな…)

ななし1は両手で頬っぺたを抑えた
はい、どうぞとお茶を渡してくれたのでお礼を言って受け取ると

「僕は好きですよ、ななし1の手」

八戒は机を挟んで正面に座りお茶をすすりながらしれっと言う

ななし1はお茶を吹き出しそうになるのを堪える
また身体中が熱くなるのがわかった

きっと八戒にはバレていて勝てないと
わかったななし1は

『なっ…!負けました…』

俯くななし1の顔は真っ赤で暫くは八戒の顔が見えないと思うのでした


END

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