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求めた熱と女神





ななし1は肌寒さを感じ、身震いをすると目を覚ました。



月明かりのみの薄暗い部屋で、ベッドに横たわる身体。もう間もなく冬を迎える気温だと言うのに、ななし1の裸体には、布団が半分しか掛かっていない。
隣で大口を開け、気持ち良さそうに同じベッドで寝る恋人、悟浄も布団がはだけてしまい、寒そうな裸の上半身が出てしまっている。


お互いの熱を求め、愛し合ったのは、数時間前。


ななし1は重たい身体を起こし、彼を起こさない様にそっと乱れた布団を掛け直す。
冷えている布団が素肌に当たれば、悟浄はもぞもぞと身じろいだ。ななし1は起こしたか?と彼の顔を見るも、開かれない瞼を確認し、ほんの少しだけ息を吐いた。
そして無造作に顔にかかる赤髪を撫でる様に指で払ってやる。

「…………、ぁ…?」

ななし1の指をくすぐったいと感じたのか、悟浄の瞼がゆっくりと開かれる。
ななし1はそのまま彼の髪や頭を撫でると、眉尻を下げながら微笑んだ。

「……ごめん、起こしちゃったね…。」

「……ぃんや、……たまたま、だ。気にすんな…」

ふあぁ、とあくびをしながら上半身を起こす悟浄が答えると、ななし1はそっかとまたもや眉尻を下げる。

「………っにしても、冷えるな今日は…」
「…ホント、冷えるね。」


悟浄はななし1の身体に腕を絡めようとするも、ななし1は、ベッドのの端に追いやられた薄いシーツを身に纏い、するりとベッドから降りた。

「…身体、痛くねぇか…?」

「うん、平気よ。」

先刻のセックスで無理をさせてないか心配する悟浄に、ななし1はにこやかに答えると、そのまま窓際に歩く。そのまま窓台に置かれた煙草を手に取り火を点けると、ガチャリ、と窓を開けた。
几帳面ね、お前。と呟く悟浄は、場所を気にせず、ベッドの上で煙草に火を点ける。
煙草の煙を肺いっぱいに吸いながら、悟浄はななし1の後ろ姿を見た。

窓を開けた事により、涼しい風が部屋に入ってくる。
ふわり、、とシーツとななし1の髪が、風になびいて。


(……あ、……………)


身に纏うシーツは、月明かりを浴びてななし1の身体のラインを影として浮かび上がらせる。
そよぐ風に遊ばれた髪の毛は、時よりうなじを覗かせる。

月明かりの元、照らされたソレが、ヤケに綺麗で。

悟浄は煙草の肺を灰皿に落とす事を忘れてしまうほど、ななし1に見とれてしまった。
少しだけ開かれた口から、吐息混じりの煙が、一本の筋を作った。



「……悟浄…?」

「………まるで、女神だな。」


灰皿に煙草を揉み消し、悟浄もベッドから立ち上がると、窓際に立つななし1を後ろから抱きしめた。

少し冷えたシーツと、彼女の髪の毛が夜風に冷やされ、冷たく感じる。
抱きしめた腕。それに応えるように、ななし1は自身の手を重ねる。悟浄の温かい腕が、冷えたななし1の手に熱を分ける様だった。

「……んっ……」

ななし1の髪の毛を優しくかき分け、見えたうなじにそっとキスを落とす。くすぐったさに身体を捩るななし1だったが、悟浄はお構い無しと言わんばかりに彼女の耳元に唇を寄せた。


「…愛してるぜ、ななし1…。」


短く息を吸ったななし1が、悟浄の方を振り向いた。
悟浄はそのまま、身体ごと向き合う様に手を回せば、ななし1が悟浄の背中に腕を回し、抱きしめる。
お互いの素肌が、触れ合うのが、気持ち良い。
悟浄は少ししゃがみ、ななし1の太ももに手を回すと、彼女の太ももをすくう様に身体を持ち上げた。背中に腕を回していたななし1は、驚きながらも落ちない様に、悟浄の首に腕を回し直す。

いわゆる、お姫様抱っこをし、ななし1をベッドまで運ぶと、彼女を優しくベッドに下ろし、寝転ばせてやる。そして自身もベッドに身を預けた。


「……ほら…頭、上げろ…」
「…ん……。」

悟浄が自身の髪の毛をかき上げて言うと、少し蕩けた顔をしたななし1は、そっと頭を上げる。そのまま枕と首元の隙間に、悟浄は自身の腕を滑り込ませた。
悟浄に腕枕をしてもらったななし1は、悟浄の赤い目を見るとにこりと微笑み、ありがとう。と礼を言った。

悟浄は目を閉じ、ななし1をそっと引き寄せると、自身の胸の中彼女を収める。


「……こーすりゃ、もっと温かいだろ……?」

「…うん、温かいし、……気持ちいい…。」



お互いの熱が、じわじわと温まるのを感じた。


end



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