ベロニカの右手には、一通の手紙の姿があった。 それは想い人、イデアからの大事な手紙。 彼の性格が出ていて、正確に整ったどこか大人しめな文字が一字づつ綴られている。 邪神を討伐し、旅を終えてから早一週間。 イデアからの手紙は、旅が終わってから約三日でラムダへと届けられた。 手紙にはベロニカを気にする様子や、旅をしている時に約束した二人旅の事などが書かれていて。 その手紙を読みながら、ベロニカはまだ三日しか経っていないのに、と嬉しそうに笑っていた。 同時に心が感じていた、もう三日、という寂しい気持ち。 たった三日のはずが、もう三日も経っていると。 イデアを始めとした旅の仲間達と離れてから、もう三日も経っていたのだとベロニカは感じずにはいられなかった。 「……イデア」 手紙を両手に持ち、想い人の名前を呟くと、ベロニカはそっと目を閉じる。 そうして、手紙に触れるだけのキスを落とした。 想い人に一日でも早く会えるよう、願いを込めて。 会いたい、という溢れそうな想いを胸に抱き、その気持ちがイデアに届く事を願って――。 2017/11/23 DQの世界には携帯のようなものはない(と思う)ので、携帯=手紙にしました。 通信終了は旅の終わり、という事で…ッ…( [*前] [TOPへ] [次#] |