キスがその答え


「……あたしの事、本当に好きなの?」

宿屋でベロニカが自分の部屋へと戻ろうとした時、それはイデアの耳に届いた。
ベッドに座ってベロニカを見送ろうとしていたイデアだったが、突然の言葉に驚き目を見開く。
そっと立ち上がるとベロニカの元へと歩み寄り、こちらを見るように促す。
ベロニカが振り返ると、イデアは跪いてベロニカと目線を合わせた。

イデアは微笑みを浮かべ、ベロニカの海のような綺麗な色をした瞳を見つめる。
自分で言った事ながら徐々に恥ずかしくなったベロニカは、顔を背けそうになった。
しかし、イデアのエメラルド色の暖かな瞳に吸い込まれたかのように、ベロニカはイデアの瞳から目を逸らせなかった。

そんなベロニカの両肩にそっと手を乗せると、イデアは目を閉じてゆっくりとベロニカの唇にキスを落とした。
イデアに続くように閉じられたベロニカの瞳。
視界が真っ暗になった中唇が感じたのは、暖かい、甘いキスだった。

“これが答え”イデアの表情はそう言いたそうだった。
恥ずかしさで限界になったベロニカは、とうとうイデアから顔を背けてしまう。
しかしそれは一時の事、次の瞬間イデアが唇に感じたのは、ベロニカからの“あたしも”という答えのキスだった。

2017/11/7

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