気を失っていたイデアが気が付いた時、そこは宿屋のベッドの上だった。 傍で看病していたのだろうベロニカが、椅子に座ってイデアを見ていて。 イデアが目を開いたのを確認できた時、ベロニカの瞳から、一筋の涙が零れ落ちた。 ベロニカは顔を背け、すぐハンカチで拭ったが、イデアはその涙を見逃さなかった。 ベロニカが再度イデアを見た時、イデアは心配そうな表情を浮かべていて。 ベロニカは顔の向きをそのままに目だけを逸らしてしまった。 そんな弱々しく見えたベロニカに近寄ると、イデアはそっと彼女の頬にキスをした。 看病してくれた事、そして涙を零してしまう程心配してくれたベロニカを愛おしく思いながら。 心の奥底からの感謝の気持ちを込めて。 『ありがとう……ベロニカ』 「……どう、いたしまして」 2017/11/7 [*前] [TOPへ] [次#] |