※軽くイザシズ
地面に伝う赤い液体。それは臨也から流れたものだった。いつものように情報を仕入れ、新宿に帰ろうとした臨也は、見知らぬ男達に囲まれてしまった。多分恨みを持った連中であろう。油断はしていなかったが、人数が多すぎた。臨也は数ヶ所刺され、軽く瀕死状態だった。
「これは、ヤバいかも・・・」
バタバタと無数の足音が響く。まだ自分を探し回っているらしい。臨也は物陰に隠れ、奴らがいなくなるのを待とうとした。だが、ガタンっと物音を発してしまい、見つかってしまった。
(あ、もうダメだ)
奴らの一人がとどめを刺そうと、臨也に金属バットを振り下ろした瞬間、凄まじい爆音と男達の悲鳴が響き渡った。
「・・・シ、シズちゃん?」
何事かと思って顔を上げると、金髪のバーテン男と目が合う。突然の出来事に、臨也はただ彼の名を口にすることしかできなかった。
「よぉ、ノミ蟲。てめぇ何してんだよ」
「見ての通り、ちょっと手こづっちゃってね。軽くピンチだったかな?」
ニコリと作り笑いをする臨也に、静雄は舌打ちをした。臨也の身体から流れ出てる血液は止まることなく溢れている。このままだとさすがに危険だ。
「・・・それ、誰にやられた」
「え?」
「だから、誰にやられたんだよ、その傷!」
いきなり響き渡る静雄の怒声に、臨也は怪訝な顔をする。
「誰にやられたって・・・・覚えてるわけないじゃん。20人くらいいたんだから」
「・・・そうか」
静雄はそれだけ言うと、残りの奴らに向かって走り出す。そして臨也の目の前に人が飛び交った。
速かった。本当に速かった。静雄が奴らを全員倒すのに3分もかからなかっただろう。
「はっ、弱ぇな」
静雄はポケットから取り出したタバコに火をつけ、一服していた。そんな静雄を臨也は下から見上げる。
「・・・・・・なんで」
「あ?」
「なんで助けたの?」
タバコを持っていた手が静止する。静雄は眉間に濃いシワを浮かべながら、臨也を睨んだ。
「あ"ぁ?誰が、誰を?」
「君が、俺を」
臨也の言葉に、静雄は「勘違いすんな」と呟く。
「俺がお前を助けるわけねーだろ」
タバコをグリグリと潰す。ほのかに焦げた臭いがした。
「俺はな、お前が他のやつにボコられるのがムカつくんだよ。・・・だから、俺以外のやつにやられんな、糞ノミ蟲」
静雄の声はいつもより小さかった。ほぼ呟きに等しかった。だが、臨也の耳にはしっかりと届いた。
「・・・シズ・・・うわぁ!」
臨也が何かを話そうとしたとき、上体が宙に浮いた。静雄に担がれたのだと、遅れながらも理解する。
「新羅んとこ、行くぞ。さすがにヤベーから」
微かに静雄の耳は赤い。この行動も、多分照れ隠しであろう。自分以外にやられるな、と独占欲の塊のような言葉を臨也に言ってしまった静雄は、赤くなった顔を臨也に見せないために軽く俯いた。
「ふふっ」
「・・・・・なんだよ」
臨也は嬉しそうに笑う。担いでいるため、どんな表情をしているか静雄にはわからなかった。
「ほんと、シズちゃんってかわいーんだから」
そう言いながら上体を軽く起こし首筋にキスをすると、静雄の体温が先程よりも高くなる。そんなところにも可愛さを感じながら、臨也はこの幸せなときを過ごした。
溺れるほど愛して
(それを人は溺愛と言うのです。)
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久々更新すw
なんか最近シズイザも書くが、イザシズを書くのも増えてきたω
どっちも好ぅきだがなっ!!!←
from 西瓜