※静←臨前提 帝人目線
「あ、臨也さん」
学校も終わって家に帰ろうとしたとき、ファーつきの黒いコートという、一発で彼とわかる格好をした臨也さんが携帯を片手に歩いていた。僕の存在に気づき、手を振ってくる。
「あ、帝人くんっ。久しぶりだね〜」
「お久しぶりです」
彼の笑顔を見てると、なんだか心が暖かくなった。なんでだろう。・・・いやいや、待て。相手はあの漆黒の冷血情報屋だぞ。
「百面相になってるよ?」
「・・・なんでもないです」
人の気も知らないで、彼は上目遣いで僕を見つめる。なんだが恥ずかしくなってきた。なんか話しなきゃ。
「そういえば、臨也さん最近チャットに顔出しませんね。」
「あぁ、いろいろと忙しくてね〜。」
「情報集めですか?」
「ま、そんなもんかな」
鋭い赤い瞳に魅力されてしまう。僕は本当におかしくなってしまったんだろうか。臨也さんに見とれるなんて。
「あ、シズちゃんだ」
ふと顔を上げると、臨也さんがふわりと笑っていた。静雄さんのほうを見ながら。
「よくこんな人混みの中から、見つけ出せますね」
「だってシズちゃん目立つじゃん」
そういいつつ、臨也さんは静雄さんから目を離さない。なんだか心の中がモヤモヤしてきた。なんなんだ、この感情。
「じゃあ、俺シズちゃんからかいに行ってくる。またね、帝人くん」
臨也さんの言葉を聞き終わる前に、僕の手は勝手に動いていた。彼のコートの袖をぐんと引っ張る。
「な、なに?どうしたの?」
臨也さんは少し驚いた顔をする。僕の行動が読めなかったのだろう。でも臨也さんは、早く静雄さんのところに行きたくてたまんないんだろうな。でも、行かせない。行かせたくない。
「・・・臨也さん」
彼を引っ張って抱きしめる。臨也さんは急な出来事に頭がついていっていないのだろう。固まっていた。
「ちょ、ちょっと、帝人くん、離して」
焦る臨也さんの声を聞いて、僕のモヤモヤする黒い感情がますます増えた。離さないというように、強く抱きしめる。
「や、やめ・・・シズちゃ・・・」
ハッと意識が明確になる。彼のたった一言で。どんなに小さな声でもはっきりと聞こえた。『シズちゃん』と。
あぁ、やっぱりこの人の心の中には、静雄さんしかいないんだな。
抱きしめていた彼を解放する。そしていつも通りの笑顔で話しかけた。
「・・・ふふ、焦った臨也さん、なかなか面白かったですよ」
僕の言葉にぽかーんと口を開いたままの彼。そして顔を赤くした。
「君、なかなかいい性格してるじゃん。この俺を焦らすなんて」
「ありがとうございます」
ニコリと微笑むと、臨也さんは「負けた」と呟いた。
「じゃあ、俺もう行くから」
臨也さんはコートを翻し、僕の横を通り抜ける。去っていく臨也さんの背中に僕は小さく呟いた。
「静雄さんとばかり遊んでないで、たまには僕とも遊んでくださいね?」
彼にこの声は届いたのだろうか。たとえ届いたとしても、彼の心の中は静雄さんでいっぱいだから、僕が入る余地なんか、ないよね。
さて帰ろうと振り返ったとき、頬に冷たいものが伝った。
あれ、なんで僕泣いてるの?
心の中に、ぽっかりと穴が開いた気がした。
儚くも美しく
(これを恋と呼べるのだろうか。)
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帝黒いっ!!!
帝人失恋ネタ〜ww
帝臨好きです^^
あ、正確にいえば帝→臨が好きれす←
久々の更新がこんなんですいませんw
つか明日テストオワタ(^ω^)←
from西瓜