こんにちはソレイユです。今日も絶好の下克上日和……いえ失礼しました。
無茶ぶりに対する反骨精神も旺盛にやる気に満ちた朝を迎えた私ですが。
「……誰だ貴様?」
開口一番、10年毎日見慣れた顔にそんなことをぬかされた日には、いよいよもって首を絞めようと思うのも自然の摂理だと思います。
*はじまりのはじまり*
ここは間違いなく城内の回廊、魔王様の部屋へと続く一本道です。
朝のお勤めを果たすべく、急いでいた私は見慣れた道の途中に人影があることに気づきました。
よく見ればそれは魔王様でした。
城内広しといえど、(あくまでも一見すると)天使のような微笑のよく似合う美貌の持ち主など他におりません。
常日頃から、私達が起きだす時間よりも早く起きるのが日課な魔王様ですから、今日も散歩にも出ていらっしゃったのでしょうと最初は納得したのですが……。
思えば最初から妙でした。
恰好も、佇まいも常日頃のものとは違うのです。イメチェンでしょうか。
しかし、顔は間違いなく魔王様その人で。
心なしか雰囲気も違うような……。
何となく引っかかった私は、どうされたのかと尋ねることにしました。
そして返ってきたのが、冒頭の言葉です。
ソレイユ「……ついにボケられたんですか魔王様。つい昨日も私に蝙蝠けしかけて睡眠不足引き起こしてくださったのはどなたですか」
寝不足は乙女の敵ですよまったく。と以前申し上げたら鼻で笑われたのを恨んでいるわけではありませんよ。
しかし魔王様から返ってきた答えは私を納得させるものではありませんでした。
アッシュベル「新入りのメイドか? 見慣れない顔だな。 私は誰だと聞いている」
ああ、この方どうしましょう。
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