昼休みが終わって5限目の授業。
いつもなら空腹が満たされて、眠くてまともに授業なんて受けないけど、今は目がばっちり開いて心なしか背筋も伸びてる。
それもこれも世界史の授業だからなんだけどね。


まったくこっちを見てくれないロビンをめげずにみつめてたら、いきなりこっちを向いてバッチリ目が合う。
やっと見てくれたー!!
ロビンがにっこりととびきりの笑顔をくれるから思わずあたしの顔はでれでれ。


「じゃあ次の問題を、ナミさん」

「へ?」


あ、すいません。
話聞いてませんでした。
ていうかロビンを見つめるので精一杯だったもので。

「あ、えーと…わかりません」

そう言ったらまたにっこり。
あの、目が笑ってないです先生。
もーごめんって、もうあんまり見ないから。

掌を縦にして顔の前に置いてごめんなさいのジェスチャー。
そしたらロビンがため息の後、苦笑してから他の生徒に問題をあてた。


いーじゃん見つめるくらい。
ロビンのけちっ
それにあたしだけじゃなく他の生徒だってロビンをぼーっと見つめてるんだから。
ロビンはあたしのなのに。
前の席のサンジなんてさっきから目をハートにしちゃってさ。
ムカつくから前の椅子を蹴る。


「ナぁミぃぃすわあああん
痛いよおおお!!
でもそんなナミさんもすきだああああ」

「うっさい!!!」

「二人とも、静かにね?」


「「……すいません」」

あーまた怒られちゃった


「ナミさん、自業自得よ」

ビビまでくすくす笑ってるし…


もうっ









やっと放課後になってうきうきしながら部活に向かう。
やっと二人きりー。
ガチャリ、と勢いよく扉を開ける。


「ロービーンっ」

「あら、ナミちゃん」

ってそれだけかい!!
もっとこう、あるでしょ?
せっかく可愛い恋人が会いにきたのにー

「もうっ!!また本読んでるし」

「そういう部活でしょう?」

「う"、まあそれはそうだけどさー」


でもさ、もうちょっと恋人特有の甘い雰囲気とかが漂っててもいいんじゃないかと思うのよね。


ぐぅ―――っ

あーだこーだ考えてたらお腹の音。


「……………」

「ナミちゃん」

「……………」

「ふふ、ナミちゃんってば」

「な に よっ
お腹すいたのよ、悪い??」


あーもー恥ずかしいっ
前もこんなことあったわよね。
大体昼休みにルフィが押しかけてくるからご飯食べられなかったのよ!!


「おにぎり食べる?」

なにこれデジャブ??
いや、喜んでいただきますけどね。

「ロビンっていつも余分におにぎり作ってるの?」

この前といい今日といい、やたら用意がいいよね。

ロビンはきょとんって顔しながら

「だってナミちゃん、成長期でしょう?」


それって…
それって!!!

「あたしのために作ってるの?」

「お腹が鳴りっぱなしだと流石に可哀想だから」


うわーめちゃくちゃ嬉しいっ
このおにぎりにはロビンの愛が詰まってるのね。

テンションが一気に上がってロビンを抱きしめようとして、ぴたりと動きを止める。



てことは、

「もしかして前におにぎりくれた時も、あたしのために用意してくれた、とか?」

まさかと思って訊いたら、ロビンがうつむいたから、おそるおそる顔を覗きこんだらロビンのほっぺが少しだけ赤く染まっていて。

思わず頬がゆるむ。
それは肯定ってことでいいんだよね。

ロビンがあんまり可愛いからもっと意地悪したくなっちゃう。



「ねえ、ロビン」

「………なあに?」

「この前、"初めて見たときから好きだった"って言ってくれたよね?」

「…………」

「言ってくれたよね?」

「覚えてないわ」


あくまでシラを切るつもりね。
まったく大人ってずるい。
そんなこと言ってもまだ顔赤いですよー


「それじゃあ、あの時言ったのは嘘だったの?」

このセリフはは瞳をうるうるさせながら言うと更に効果抜群ね。


「い、いえっ
そんなことは………ないわ」

あ、焦ってる焦ってる。
おろおろしながらあたしをなだめようとしてるロビンも可愛いなあー

「じゃあやっぱり言ってくれたんだよね?」

「…………ええ」

「きゃー!!
ロビンったら!!」

泣くふりなんてすぐやめてロビンを抱きしめる。
嗚呼、ロビンから花のいい匂いがします。


「もうっ、ナミちゃん騙したのね」

そう言ってぷいってそっぽを向くロビンだけど、それがただの照れ隠しだってわかってるよ。
だって抱きしめてるあたしの腕から離れようとしないし、それに黒髪からのぞくかわいい耳が真っ赤だから。


あたしはね、ロビン。
ロビンのいろんな一面を見るたびに幸せを噛みしめてるんだよ。
笑ったり怒ったり照れたり泣いたり、いろんなロビンに出会うたびに毎回恋に落ちてるんだから。

だから、ロビンもそうだったらいいなって思う。
どうかいろんなあたしに恋をしてね。


「ねぇロビン」

「またなにか企んで……きゃっ」

まだ名前しか呼んでないのにそれはひどいんじゃない??
お返しにロビンの耳にちゅってキスをひとつ。
みるみるうちにさっきよりも真っ赤になった耳が、ロビンの心の中を表してるみたい。

「っ…ナミちゃん!!」

「なーに?」

「………いきなりはやめて」

「ふーん、じゃあいきなりじゃなかったらいいんだ?」

「そういう意味ではなくて」


必死にあたしに説明しようとしてるロビンがあまりにも可愛くて


"かわいいね"って耳元で囁いたら、急に黙りこんであたしの胸元にしがみついて顔を隠してしまった。


あーもーたまらんっ
さらにぎゅって抱きしめたらロビンが小さな声で

「……大人をからかわないで」

だってさ。








どこまであたしをメロメロにさせれば気がすむんだろこの人。



<あとがき>
ナミちゃんとロビン先生がくっついたことだし、早速甘いのを書いてみました。
ナミちゃんにからかわれて照れまくるロビン先生です。
授業の時なんかはしっかりしてるロビン先生のギャップがすきです。
この話はいつも私にありがたいアドバイスをくれた友達、というか師匠に捧げます。
いつもいつもありがとう。
感謝を込めて。






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