こんこん、と震えるこぶしでドアをノックした。
心なしか足もがたがたいってるような気がする。
あれ、あたしってこんなに臆病だったっけ。
すごく逃げ出したくてたまらない。

「どうぞ」

久しぶりにロビン先生の声を聞いたら今までよりももっと緊張が増して、それから愛しさが溢れてきた。
ああ、もうこの想いに身をまかせるしかない。


「……失礼します」

きっと声まで震えていると思う。
でもそれでいい。
取り繕って自分をよく見せたりするのはもうやめた。
こわいけど、こわいからこそありのままのあたしを見てほしいから。










資料室に入ったらロビン先生が驚いた顔を一瞬だけして、それからすぐにいつもの顔になった。


あのときロビン先生にキスしたときからずっと思ってた。
これは自惚れや勘違いじゃなくきっとあたしたちは、




「久しぶりね、元気にしていた?」

あたしとは決して目を合わさずに、でも微笑みは絶やさないロビン先生。

「ううん、元気じゃなかったよ、いろんなことがあったから
でもそれを含めて、今は前よりももっと強くなれた気がする」

「……………」

なんのことか分かっているよね、きっと。


「ロビン先生に伝えたいことがあるの」

あたしのすべてを

「この前の話ならもう…」

「ちがうの」

もうごまかさないで


「あたしはロビン先生が
「ナミちゃん待って」

どうして?
なんで言わせてくれないの?

「ナミちゃん、言わないで」

「もう自分の気持ちに嘘はつきたくないの」

「言ってはだめっ」


「あたしはロビン先生のことが

そこまで言いかけたとき、ロビン先生が部屋を飛び出していった。


"言わないで、意思が揺らぐから"

かすかにそう言われたような気がしたから、絶対に離れたくないから、答えを知りたいから、あたしはその後を追った。














ロビン先生がどんどん階段を駆け上がって走るから、あっという間に息が切れてしまった。

「ロ、…ビン先生
待って……っ!!」

廊下を全力疾走して、つきあたりの非常階段にロビン先生が入っていくのが見えたから、鍵を閉められないようにあたしもすかさず扉に手をかけた。


「ロビン先生っ」

ロビン先生は立ち止まり肩で息をしていてあたしに背を向けている。

「ナミちゃん、あなたがわたしに伝えてしまったら」

「ロビン先生」

「わたしたちは今までのようにいられなくなるわ」

「ロビン先生、聞いて」

「何も聞きたくないわっ」


すう、っと深呼吸。
あたしにとって何が一番大切なのか。
何を守りたいのか。
そんなのとっくに決まってる。


「あたしはロビン先生が好きだよ
ずっとずっと好きだった」

聞いた途端にロビン先生が顔を両手で覆った。
肩が震えている。

「あなたの気持ちには、応えることが…できない」

「どうして?」

じゃあどうしてそんなに悲しそうなの?

「これは、許されないことだから……よ」


あたしから顔を背けてそんなこと言わないで。
最初に想いを伝えようとして、ロビン先生にそれを誤魔化されてしまったときすごく悲しかったけど、それよりもなによりも、あたしは悔しかったの。
悔しくて悔しくて自分が情けなかった。
だから今度こそは、絶対に逃したくないの。


「もし、ロビン先生の想いがあたしに向かっていないならあきらめる
時間はかかるけど、もうロビン先生には近付かないから。」


涙をぐっとこらえて前をしっかりと、ロビン先生を見つめる。



「だけどもし、ロビン先生が
教師と生徒の立場とか
同性だからとか
年の差なんかで、

そんなくだらないもののために
答えを導き出したのなら、
そんなくだらないもののために
ロビン先生を失うつもりなんて更々ないから」


「……うっ………く、」

教師が生徒を好きになっちゃいけないの?


「人を好きになるのに、
正しいも間違いもないんだよ」


そっと近づいて、

ロビン先生の顔を覆っている両手をはずして、あたしの手でロビン先生の頬を挟んで包みこんだ。


何が最善かなんて他人に決められたくない。
あたしは、あたし自身が信じるものを自分で掴みたい。


「誰かの一般的な意見じゃなくて、あたしはロビン先生の気持ちが知りたいの」


「……っ……わたし、は」

口に出すことをためらって、静かに涙を流すロビン先生。



「ロビン」

あたしの想いが余すことなくすべて伝わるように、大切にたいせつにその名を呼んだ。


「………わたし、も……ナミちゃ…が、すき」

「うん」

「初めて見たときから……すき、だった」

「うん」

「ナミちゃんっ、ナミちゃん……」


息ができないくらい抱きしめられて、そっと目を閉じた。


やっと想いが重なった。
絶対に叶わないと思っていた。
あたしは決してこの愛しい人を離さない。










笑顔になってほしくて、
溢れる涙を止めたくて、
あたしはロビンに触れるだけの優しいキスをした。




<あとがき>
やっと二人がくっつきましたあああ
あーもーほんとに長かった
途中でビビのキャラ設定を何度も恨んだりしました
自業自得だけれど
これからはついに二人をイチャイチャさせることができますっ!!!!
あああーここまでこれてほんとに嬉しいです。

今回の内容としては、最後にデレたロビン先生が書きたくて書きたくてしょーがなかったんです。
そしてナミちゃんがいつになく男前っ








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