水曜日、屋上にて。

水曜日。


(…さて、)


協力するとは言ったものの、どうしたものか。前にも言った通りうちの学校の男子テニス部は学校中のアイドルと言っていいくらい人気だ。下手に近づけば霊どころか生身の人間からも攻撃を受けるし、大体「視えない」連中に「貴方たちにユーレイが憑りついてるの」とか言おうものなら確実に「気が触れた女子生徒」のレッテルを貼られかねない。全く、めんどくさい。

ちなみに今、七緒は仲のいいテニス部好きの女子とテニスコートへ行っている。私にはあの状況に吐き気すら催したが、七緒の「性質」ならまあ、平気だろうということで、彼女には情報収集に行ってもらった。…お願いだから勝手な真似はしないこと、とかなり念を押して。

そして私はどこにいるかというと、屋上に来ている。何故屋上かというと、ここはテニス部レギュラーが昼食をとる時に集まる場所だからだ。本来は立ち入り禁止なのだが、テニス部のあまりの人気で彼らは食堂へ行けば人気アーティストでもやってきたかのような混乱を招き、教室に居てもお近づきになりたい女子が彼らと昼食をとろうと毎回戦争が起こる。だから特別に許可をもらい、彼らはここで昼食をとっているのだ。ちなみにテニス部が許可をとっているのは昼休みのみであるので、放課後の今は立ち入り禁止だったりするのだが、そんなこと言ってられないわけで。つまり、完全な不法侵入である。


(…まあこりゃおっそろしく濃い瘴気だこと)


テニス部がいないのにこんだけ瘴気が溜まってるって…私は頭を抱えた。これは久々に、本気を出さなくてはいけないかもしれない。とりあえず、と私はポケットから小瓶と紙包みを何個か取り出した。屋上の四隅にその紙包みを開く。中に入っているのは塩だ。それを小瓶の水で固めて盛る。塩も水も、あらかじめ用意したお清めのもの。屋上なのであんまり効果がないかもしれないが、それでもないよりはマシだろう。塩を四隅に設置すると、小瓶に入っていた残りの水を、空中に勢いよく振り撒いた。

ジュ、と焼けるような音と共に瘴気が消えていく。聖水の使い方確実に誤っているが、先程とは違い澄んだ空気になったことを確認すると、私はさっさと屋上を後にした。


03.乱雑
(だって一番手っ取り早いんだもん)
お題配布元:「夢紡ぎ」様より選択お題80

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