■闇の手(ネレリド)
ただどこまでも虚無が広がる世界にて



「目を醒ましたか」
「オ・・レ、ここは・・?」
「此処はバテンカイトス・・・真なる世界。何故貴様が此処に居るのか?思い出したいのならば思い出させてやろう」

巨大な闇が手を翳すと、リッドの中に膨大な記憶が流れ込んでくる。
エターニアで生きてきた日々の記憶が、
リッドは半ば錯乱したかの様に頭を抱え、叫び声を上げた。
「いやっ・・だ、やめてくれ、思い出したくない!思い出したくない!!」
闇は再び手を翳し、記憶の濁流は嘘の様にリッドの中から静かに消えていった。

「物質などに囚われるから傷を負うのだ。何も手にしなければ失う事もなかろうて」
「なにも、てにしなければ・・」
リッドは虚ろな瞳で呟く。


(何も起きないのが1番だよ、何も変わらないのが本当の幸せってもんだろ)


-------誰かが、そんなことを言っていたような気がする。



「我が力に身を委ねよ、極光術師・・・強い力は光にも闇にも転ずる。お前はセイファートに棄てられたのだ」
「すて、られた」
「我の傍に置いてやろう・・・我と共に来い、このネレイドと共に」

リッドは闇の手を取った。
世界を救う存在から脅かす存在になった彼を、世界は裏切り者と称するかもしれない。
だが努々忘れるなかれ、先に彼を裏切ったのは、世界の方である事を--------。



「セイファートの力を継ぐ者・・か。
 なぁ、セイファートよ、心に傷を負った人間の、なんと脆い事か。
 簡単に此方側に堕ちて来たぞ。
 まぁ・・無理もないやも知れぬ。
 なんとも酷な仕打ちを与えるものだな、人間の救世主(セイファート)というものは・・」



--オワリオワリッド--
闇落ちリッドさん
ネレイドやバテンカイトスの解釈ってこれで良いのかなぁと若干迷いつつ書きました。
リッドの台詞はどう考えても曲解してますけどね、展開上・・。

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