■■ ■氷を溶かす陽炎(セルリ)
少女は、空の彼方を見つめていた。
「お、いたいた。なぁ、セルシウス」
「どうしたの」
「この花を凍らせて、長く持つようにしてほしいんだけど、頼めるか?」
「アイスフラワーね」
「それそれ。枯れにくいヤツを選んでくれたみたいだけど、そろそろ限界かなって」
「じゃあ、元はプレゼントだったのかしら?」
「ああ。花束で貰ったんだけど、なんか世話してる内に愛着湧いちまってさ」
「構わないけど・・・自然の摂理を曲げてまで残しておきたいなんて、よっぽど大切な人から貰ったのね」
「・・・・・・やっぱ、良くねぇかな、こういうのって」
猟師として、自然の流れの中で生きてきたリッドにとって、『精霊』という存在に「自然の摂理を曲げる」と言われてしまうことはやや耳が痛かった。
押し黙ったリッドの様子を見て、いいえとセルシウスは目を閉じて首を横に振る。
「ごめんなさい。少し、意地悪をしたくなったの」
「・・・?」
「なんでもないわ。花を貸してちょうだい」
氷を溶かす陽炎。
人よりも高位に立つべき存在である私が、人間の嫉妬のような感情を抱くなんて、まだまだ未熟ね
少し・・・そう、ほんの少しだけ、羨ましくなってしまったの。貴方にそこまで想われる人が・・・
でも、きっとこれは無かったことにした方がいい感情
精霊と人では、生きる時間の長さがあまりにも、違いすぎるもの-----------
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陽炎という現象が氷を溶かすとかそういうのは無いと思うんですが、最初に浮かんだ題で語感がやっぱりこれがいいってなったのでゴリ押します(えー)
RM3設定なので、晶霊ではなく精霊です
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