■君を、護ると(リオリド)
【「プライドの問題」と同じリオン×某マクF的巨人族(普段はショタ)設定リッド】


リオンは、負傷したリッドを庇うように前に立つ。
周囲を敵に完全に包囲され、数の差も圧倒的というこの状況で、だというのにリオンは怖いくらいに冷静で、静かに言葉を紡いでいた。

「体格では当然劣る。力で太刀打ち出来る筈もなく、それはそのまま戦力差になる・・だから、お前に守られる事の方が・・多かったな。その度に傷だらけになるお前を見て、僕が何も感じなかったと思うのか?」
それでも、とリオンは強い眼差しをリッドに向ける。

「お前の心を護るのは、この僕だ」

リッドは息を呑んだ。こんな局面だというのに、その言葉が嬉しくてしかたない。
だが、非情な現実は眼前に迫ってくる。

「行ってくる」
「待っ・・!幾らリオンでも、この状況じゃ・・っ」

遠ざかる背中を追いかけようとするも、身体に激痛が走り、リッドはその場にうずくまった。
幾度と無く爆発が起こり、辺りは閃光に包まれる。

「い、やだよ・・リオン、また、オレの所為で・・」
リッドを護る為に命を落とした、あの人の姿が脳裏を掠める。

「オ、レを・・独り、に・・しな・・いで、リオ・・ン・・・」



そこでリッドの意識は途切れた。




目を覚ますと、霞んだ視界に知らない天井が映る。
薬品の匂いで病院だと察するが、全ては夢だったのだろうか?
いや・・、身体を動かそうとして走る痛みに、これは現実だと悟る。


(オレ、は・・たすかったのか)

息が苦しい、込み上げてくる悲しみが、涙となってリッドの頬を伝う。
どうして、自分は泣いているのか


(リオ、ン・・)

自然と、自身の中に浮かんだ名前。
その名によって今までの経緯が思い起こされ、リッドは嗚咽を漏らした。
肩を震わせ、幼子のように泣きじゃくる。

「リオン・・リオン・・・」
「全く、何を泣いている」

当ても無くその名を呼び続けていると、横から聞こえる筈のない声がした。
驚きに目を見開いてその人物の方を見ると、そこには、大切な人の姿があった。

「リ、オン・・・!」

リッドの双眸から、大粒の涙がぼろぼろと零れ落ちる。
互いの負傷は酷く、傍に駆け寄る事も出来ないが、それでも

(生きている、リオンが、生きていた・・・!)

喜びと安堵で、笑いたいのに、涙が溢れて、でも嬉しくて。
泣いたり笑ったりと忙しいリッドを見つめながら、リオンは珍しく冗談めいた口調で、不敵に笑う。

「この僕が、そう簡単に死ぬ訳が無いだろう」
「だっ、て・・ホントに怖かった、から・・、また、オレの所為で、誰かが死ぬって・・思ったら、・・」

リッドの悲痛な声と涙に、リオンは表情を改める。
本来は絶対安静だが、構っていられるか、と身体をゆっくり動かすと、腕を伸ばしそっとリッドの頭を撫でる。
「お前の所為じゃない。その男も、僕も、自らの意志で選択したんだ」


リッドを、護る-----と


そんなリオンの言葉に、リッドはまた涙し、そして小さく微笑んだ。
自分を撫でてくれる、リオンの手に、そっと自分のそれを重ねる。

「・・ありがとう、リオン」



--Fin--

@このままだとリオンの死亡フラグが回避出来ねぇ・・!レイスに続いて、リッドさんの新たなトラウマになってしまう・・と思ったので、なんとか生存してもらいました。
ほら、割れた眼鏡も映画では生き残れたし、そういう方向で(酷い言い草である)
戦闘シーンは元のサイズ(大きい)で、病院シーンは小さくなってます。文章上からは全く分からんけどな!(力量不足)

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