■この想いがsideR(クレリド)


>>sideR

闘技場での闘いを終え、王都を後にし、リッドたちは元の旅路へ戻ろうとしていた。
目指すは、バンエルティア号を停泊させてあるインフェリア港だ。
その道中、ファラがあっ、と声を上げる。

「どうした?」
「さっきのお店で、道具買い足すの忘れちゃった」
「バイバ!なら急いで戻るよ」

ったく、しょうがねーな、と来た道を引き返そうとするリッドをファラが押し留めた。

「どうしたんだよ?」
「ねぇ、リッドはさっき闘技場で闘ったばっかりだし、疲れてるでしょ?だから荷物番しててよ!買出しは私達で行ってくるから!」

全く疲れてない、と言えば嘘になるが、それほどでもねぇぞ?と言っても
ファラは良いから良いから、とリッドに荷物を預け、さっさと王都へ引き返してしまった。
こうなってはどうしようもないので
リッドは状況に抗わず、傍の木陰に荷物をまとめ
木の根元に腰を下ろすと、身体を休ませることにした。


「良い天気だなー・・」

ただ何も考えず、空を見上げ、雲の流れを追っていると
ふと、先程闘った相手のことを思い出した。
名も知らぬ、若き剣士のことを

(って、多分オレとそんな変わんねーよな、歳)

むくりと身体を起こすと、リッドはがさごそと荷物を探り始めた。
そして、その中から赤いバンダナを取り出す。
闘技場で戦ったその人から、戦利品として貰ったものだ。
普段バンダナを着用しない自分にとっては、少々不似合いなものに感じてしまう。
だが、不思議なことに、このバンダナを手にしていると、何か力が湧いてくるのだ。

(なんて言うか、どんなに強い敵にも、立ち向かっていけるような・・勇気ってヤツか?)

まるで彼に背中を預けて闘っているような、そんな安心感
んな訳ねーか、と自らの思考に恥じ入りつつ、自分を誤魔化すように頭を掻いた。




(君を守ってくれると、信じているから)
(どんなに離れていても、その強い想いがオレを守ってくれるようだ)
((再び出会えるその時まで))


prev back next
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -