■運命の再会(クレリド)



「初めまして、クレス・アルベインです。よろしく」

差し出された手が、握手を求めたものだと理解するのに酷く時間が掛かった。
呆然としていると不審に思ったのか、目の前の人物が「どうかしたかい?」と首を傾げる。

「あ、いや、悪ぃ。その・・」
「?」
「こんなの、おかしいってオレも思ってんだけど・・、えっと、もしかしてオレと前に会った事ある・・・か?」
「・・・・・・・・」
「あ!や、やっぱそんな訳ねぇよな!オレの気のせいだ!えーと・・・オレはリッド、リッド・ハーシェル。こちらこそよろしくな、クレス」


沈黙に耐え切れず、やはり誤魔化すことにした。
そして不自然過ぎる勢いでクレスの手を握り返す。

自分だって記憶があやふやだし、もしかしたら他人の空似かもしれない
それに『この世界』はオレの世界、エターニアとは違う世界だ
だったら、そこに居た人が此処に居る訳がなくて・・・

若干の動揺を含んだ思考を巡らせていると、フッとクレスが笑った。

「奇遇だね。僕も・・・君と何処かで逢った様な気がしていたんだ」
「・・・!」
「改めて、よろしくね、リッド」


-運命の再会-

(いや・・・たぶんあの人は本気を出してなかったと思う・・・)
(でもいいんだ。力いっぱい戦って・・・楽しかったぜ)
(それに・・・あの人にはまたどこかで会えるような気がする)

prev back next
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -