■武闘料理会(リリリド)

ここは灼熱の街シャンバール。
リッドたち一行が今日この街を訪れたのは、ビストロ・シャンバールにチャレンジする為だ。

「すみませーん、味マスターとの料理勝負に挑戦したいんですけど」

可能な限りの食材を揃え、料理のレベルも万端、ファラは張り切って受付へ向かう。ここまではいつもと同じだったが・・
「えっどういうことですか?」
参加料金を支払おうとした時、それは必要無いと言われ、ファラは首を傾げた。
「それって、料理勝負に挑戦出来ねぇってことかよ?」
「いえ、挑戦料は頂かない代わりに、料理勝負に挑戦する為には味マスターの出した条件を呑んで頂かなければならないのです」
リッドの質問に対する解答を聞いても、一体どういうことだ?と一同の疑問が深まるばかりだった。
しかし受付嬢も詳細は聞き及んでいないらしく、申し訳なさそうに頭を下げる。
「んー、まぁなんとかなるんじゃない?うん、イケるイケる!」
「まーたそれかよ・・」
ファラはいつもの調子で会場に歩みを進めたが、まさかあんなことになるなんて・・誰も予想していなかったのは言うまでもない。


「史上最強の料理対決!ビストロ・シャンバール!本日もみなさんに最高の料理をお届けします!」
会場の照明が落とされ、ステージに併設されたキッチンがスポットライトに照らされる。
味マスターとファラの料理対決も3度目を迎え、今回味マスターに勝利すれば、ファラが新王者となる。
受付の際に言われた挑戦料の代わりになる「条件」とは一体何なのだろうか・・観客席のリッドたちも今までとはまた違った意味で、真剣な面持ちでステージを見守る。

「それでは当店の専属シェフ、味マスターに登場してもらいましょう、どうぞ!」
アナウンサーの呼びかけに、味マスターが姿を現す。
ピンクのエプロンドレスに、白いフリルが施されたシンプルだが可愛らしいエプロンを纏い、長い金髪は三つ編みでまとめられている。
「こんにちは、ファラさん」
「こんにちは、味マスター。早速なんですけど、料理勝負に挑戦する為の条件ってなんですか?」
単刀直入にファラが尋ね、味マスターは満面の笑みでそれに答えた。
「それは私が勝った場合だけなんで、今はいいですよ!」
「はぁ、そうですか・・」
「はい!じゃあお互い正々堂々、始めましょう!」
そうこうして、なんだか大事なことが流されたような気がしないでもないが、料理対決は始まった。そして勝者は・・

「うそー!」
『勝者、味マスター!』
優勝は味マスター。ファラは気合を入れて臨んだだけに、落胆の色も大きい。
「まぁ料理の結果は仕方ないとして・・」
「ああ、味マスターが勝利したんだ、『条件』とは一体何だ?」
リッドとキールは勝負の結果もそこそこに、味マスターの出方を伺う。
コホンと咳払いをして、味マスター、ことリリス・エルロンは観客席のリッドを指差した。
「リッド・ハーシェルさん、是非エルロン家にお嫁に来て頂けませんか?」
「「「はぁぁっ!?」」」
名指しされたリッドを含むラシュアン幼馴染3人組は思わず叫んだ。メルディだけは「リッドがお嫁さんー♪」と何故か状況を楽しんでいる。
「最初はお兄ちゃんの・・あっ、私兄が居るんです、スタン・エルロンって言うんですけど」
「はぁ・・」
「最初の料理対決でファラさんたちにお会いして、リッドさんを一目見た時から兄のお嫁さんにって思ってたんですよ!だけどずーっとリッドさんを見てたら余りにも可愛いから・・だから間を取って、エルロン家にお嫁に来て下さい!それなら誰かが独り占めってことにはならないでしょう?」
「ならないでしょう?って、オレ男なんだけど!?」
「知ってますよ?」
余りにも清々しい笑顔で答えられ、リッドは毒気を抜かれる。
「お兄ちゃん、寝ぼすけですけど、優しくて頼れる底なしのいい人ですよ!剣の腕も・・」
このままでは相手のペースに完全に巻き込まれる、そう思ったファラは会話に割って入った。
「ちょっ、ちょっと待って下さい!そんなのダメに決まってるじゃないですか!」
「どうしてもですか?」
「ダメです!っていうか、良い訳ないでしょ!どうしてもっていうなら・・私を倒してからにして!話はそれからよ!」
まくし立てたのち、構えるファラ。
「わかりました!私が勝ったら今度こそ、リッドさんを頂戴します!」
「リッドは渡さないんだからー!」
「オレの意見は!?」
半ば優勝商品に据えられてしまったリッドの切実な叫びは完全に無視され、そして闘いの幕が再び切って落とされた。
「いくわよー!三散華!飛燕連脚!!」
繰り出されるファラの激しい攻撃を、傍にあったフライパンとおたまで受け止めるリリス。
「なっ、調理器具で受け止めた!?味マスター、何者なんだ!?」
「解説してる場合か!」
「ファラー、頑張れー♪」
解説者と化すキールとファラを応援する緊張感の欠片も無いメルディの二人に、リッドはガックリと肩を落とす。
ファラがそうそう負けるとも思えないが、万が一のことがあれば、自分はどうなってしまうのだろうか。
「雷神拳!」
「きゃあっ!リリスさん、なかなかやるわね・・!」
リリスの攻撃に吹っ飛ばされるファラだったが、身を捻ってキッチンの上に無事着地する。食材や調理器具がガラガラと音を立てて床に転がり落ちた。
「ファラさんこそ、お強いですね!」
「絶対に負けられない!鷹爪落瀑蹴!!」
「雷神十連撃!!」
段々と二人の技が激しいものとなっていき、その影響でキッチンやステージが受ける被害も広がっていく。
「獅子戦吼!はぁーーー!とどめ!!」
「必殺!サンダーソーード!」
二人の秘奥義がぶつかり合い、ビストロ・シャンバールは爆発。その後、彼らの行方を知るものは居なかった・・。

「爆発オチかよ!でも助かった・・」
--オワリオワリッド--
はい、爆発オチですが何か?←
最期の一言はリッドです。Eに登場するリリスなので、オリD仕様です。
ちょっと気を抜くと、すぐにリリスがとんでもない(人質とか誘拐とか)ことをしでかすのでセーブするのが大変でしたw
色々と展開が荒いかもですがその辺りは適度にスルー推奨です(苦笑)

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