■To The Sky 1(アチェリド)
ナンバリングしてあるけど続き物にあらず。
myディセは企画【俺×リッド】のミナトさんを召喚。
きっと世界が平和になった後だろうけど、じゃあ何故ディセが居るしとか突っ込んではいけない。



依頼を片付けて、リッドは空を眺めていた。
今日のメンバーはミナト、リッド、アーチェ、クラトス。
ミナトは午後からガヴァダでセネルたちとクエストがあるらしく、仕事が終わり次第慌しくアイリリーを去っていったが、それはいつものことなので、皆別段気にしていない。
クラトスはアーチェが取り出した弁当に、以前の惨事、いや、ある出来事を思い出したらしく、ギルドマスターの仕事がどうのと言って引き上げていった。

そんな経緯でリッドはアーチェの弁当を食し、そして食休みに寝転がって、空を眺めて優しい風を身に受けているという訳だ。
「アンタってホント空見んの好きよねー」
お弁当を完食してもらえたことで、アーチェは上機嫌のようだ。
「んー・・そうだな、見てて飽きねぇからな」
一方のリッドは、食後という事と、心地良い風と日差しに若干眠たげな反応を返す。
「あっ、なら、リッドは空飛んだコトある?飛んでみたくない?」
「飛んでみたくって、オレ空なんて飛べねぇよ」
だから飛んでみたいなどと考えたこともないとリッドが言うと、アーチェは無い胸を張り、そして地の文は殴られた。
「このアーチェ様にまっかせっなさーい!じゃじゃーん☆」
「それって、アーチェがいつも乗って飛んでるほうきだろ?でもなんだっけ、清らかな?乙女がどうとか〜って言ってなかったか?」
「んー、多分リッドなら大丈夫なんじゃない?」
リッドはその自信の根拠を聞きたかったが、聞くと何か大切なものを失う気がして、その質問は心の中に留めておくことにした。

「それじゃ善は急げ、早速行ってみましょ!ほらリッド、乗って乗って!」
「乗ってって言われてもな・・こ、こうか?」
「ん、そんな感じでオッケー☆んじゃ行くわよ〜」
リッドが戸惑いながらも、アーチェを真似てほうきにまたがったのを確認して、アーチェはほうきに魔力を込めた。
「・・・」
「・・・」
しかし何も起こらない。二人の間にやたらと爽やかな風が吹きぬけた。
「・・やっぱり、オレを乗せて飛ぶのはムリなんじゃねーの?」
乙女がなんちゃら〜もだけど体重とかもあるしさ、とリッドは付け加えた。
「ふっふっふっ」
「アーチェ?」
「今残念だったでしょ!?空飛べなくて残念に思ったでしょ!?」
「はぁ?そりゃまぁ、ちょっとは・・」
全く興味がなかったかと言うと嘘になる、リッドはそう思った。
「リッドもやっぱり空飛びたいって思ってるんじゃん!よろしいよろしい♪」
「だ、だからなんだよ・・」
アーチェはリッドが空を飛びたいと思っているか試してみたかっただけで、言わばそれは悪戯心に他ならない。
しかし改めてそう言われると、リッドはなんだか気恥ずかしくなる。

「それじゃこっから本番ね!」
「えっ?」
アーチェとリッドを乗せて、ほうきは今度こそふわりと浮かび上がる。
心の準備が出来ぬ間に足元が地面から離れ、リッドは思わず声を上げた。
「うわぁっ」
そして次の瞬間、アーチェはゆっくりと浮遊させていたほうきを急加速させ、瞬く間にアイリリー上空へ自分たちを運び上げた。
風を切る感覚があり、木々や雲の合間を通り抜けるという滅多に見られない光景がリッドの眼前には在ったのだが、しかし彼にそれらに気を配れるだけの余裕は無かった。
「リッド、リーッド!目開けてみなさいって!」
アーチェに言われ、リッドは恐る恐る開眼する。
そして眼下に広がるアイリリーの街と世界樹すら超える高さから見下ろす世界の景色に、息を呑んだ。
「すっげぇ・・!オレ世界樹のてっぺんなんて初めて見たぜ」
「でっしょー?ドープルーンだって、ガヴァダだって見渡せるんだから♪」
リッドは空から見る初めての風景にすっかり引き込まれている。
そんな様子にアーチェは自分の頬がニヤっと緩むのを我慢しながら、リッドにこう告げた。
「ところでさ、いつまでアタシの肩にしがみついてんの?」
「へ?」
リッドは指摘されて初めて自分の行動を省みた。
アーチェが急に飛び上がった為リッドはどうして良いか判らず、混乱の中兎に角落ちたら死ぬ!その一心で必死に何かに掴まったのだが・・。
「わっ、悪い・・いいいいっ!?」
「下手に離すと落っこちるよー?流石にこっから落ちたら助けてあげられないから気をつけてねー」
「・・・っ・・、怖いこと言うなよ・・」
リッドはほうきを掴むが、慣れていない所為でアーチェの様に上手くバランスを取ることが出来ない。
四苦八苦してなんとか姿勢を安定させ、そんなリッドの困り顔をアーチェは楽しんでいた。

「んじゃ、どっか行きたい所とかある?」
「うーん・・あ、海とか、見てみてぇかな」

そしてリッドは暫くの飛行を楽しみ、アーチェは海を見たリッドのリアクションを楽しんで、二人はアイリリーに戻った。
アーチェがその後、リッドの貴重な表情や反応を見られたことをチェスターに自慢したことは言うまでもない。

--オワリオワリッド--
これ・・もしかしてリッドさん(自主規制)が痛いんじゃ・・そこまで考えてなかった(笑)
空を見るのが好きなリッドさん、なら空を飛ぶのはどうなんでしょう?って思いついたのは実は別CPなんですけど、こちらはアーチェのほうきから何かネタを・・と考えた時、空関連で展開が似通ったので、ナンバリングしてみました。詳しくは2でその別CPを掲載した時にでも。
クラトスの羽で空に連れてってもらうネタに若干被るか・・と書いていて発想力の無さを反省。

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