■ほら、救済をやるよ(リドリド)
※まさかのP4Aパロもどき




(ここは・・どこだ・・?)


ひやりとした床の冷たさでリッドは意識を取り戻した。
全身がとてもだるく、頭に鈍痛が残る。
その痛みによってここに到るまでの経緯をうっすらとリッドは思い出す。

(たしか、誰かに後ろから殴られて、気を失って・・)

そしてここに運ばれたのだろうか?
辺りを見回すが、周囲には霧が立ち込めていて視界が悪い。

「ってか寒っ・・」
リッドは身体を震わせた。冷静になってみると、ここは酷く寒い場所だった。
ポツポツと雨が降っている所為だろう、肌に触れる雫がそれを物語っている。
こういう時は無闇に動かない方が良策だろうが、多少は周囲の情報も必要だ。せめて、ここがどこかなのかだけでも。
そう考えたリッドは立ち上がって歩みを進める。すると、視界を覆っている「もや」が霧だけではない事に気付いた。
「これって・・」
それは煙だった。何かが焼け焦げた臭いが鼻をつく。
焼け跡が雨で沈下され、煙を上げる、そんな光景。開かれた視界にリッドは息を呑んだ。


「なんだよ、これ・・ここが・・なんで」


無意識に身体が後ずさりを始める。

(そんな筈がない。だって、あの村は、もうとっくに復興して、だから)

燃え尽きたラシュアンの村がそこに在った。あの惨劇の時のままの姿で。
そう、10年前も雨が降っていた。
あの日全てを失って、あの時から全てが変わってしまった。



『あの時、父さんが死んでからずっと寂しかったよなぁ』
「---っ誰だ!?」

心の中を読んだかのように紡がれた言葉に、リッドは後ろを振り返る。
だがリッドは再び息を呑んだ。目の前に立っているのは

『オレは、お前だよ』
「嘘・・だろ・・」

声の主はまるで鏡を映したかの様にリッドと瓜二つだった。
唯一異なるのは瞳の色が、透き通った空の色ではなく、濁った黄色であることか。
睨みつける相手もまた自分というのはなんとも奇妙だが
ここはどこで、どうしてこんなものが在って、自分は何故ここに居るのか、聞かなければならないことは山の様にあった。

「お前がオレをここに連れてきたのか?」
『父さんが死んで、オレを守ってくれるものは何も無くなった』
「聞けよ!お前、さっきからなに言って・・・」
『でも仕方ねぇよなぁ、だって父さんが死んだのはオレの所為だ』

リッドはその言葉にびくっと身体を強張らせる。
耳を塞ぎたかった。この先を聞いてはならないと心が警鐘を鳴らす。

『だから独りで生きていかなきゃならないのも仕方ないって、寧ろ罰なんだって』
「黙れよ・・」
『でも心の奥底では、引き取ってくれる親戚の居るファラが羨ましくてしかたなかった』
「黙れって言ってるだろ!」
『キールは何もかも忘れて、・・オレの事も忘れて、オレを置いてどっか行っちまった』
「うるさい!」

リッドは声を荒げる。だがもう一人の自分(?)は、口元を歪めて笑うばかりだ。
どうしてそんなことを今更蒸し返す、蓋をした心の中を掘り返す。
お前がオレだって言うんなら、分かるだろう?

『村のヤツらがオレを許す筈がねぇ、お前だって自分のこと許せる訳ねぇよなぁ?この世界でオレの存在を許してくれるヤツなんて、そう、一人だけしか居なかった』
「それ以上・・言うな」
『だからお前はファラを守ることにしたんだ。村の連中から、全部の元凶だって自分に敵意が向くように振舞ったのも』
「言うなって言ってるだろ!」
『ファラを守れば、自分の居場所が出来るって思ったんだよなぁ!?』
「違う!!」
『ファラは何にでも首突っ込む危なっかしいヤツで、オレがついててやらないと、見ててやらないと、そんな都合の良い言葉を並べてさぁ』
「違う、ちがう、やめろ・・・」
『ファラを守る為だって?笑わせんなよ!お前は本当は、ファラを守ることで「ファラを守ってる【自分】」を守りたかっただけなんだよ!!』
「やめてくれ!!」

リッドはガクリと膝を着いた。聞きたくない、暴かないで。
だが、否応無しに記憶は紐解かれていく。
過去の感情が、風景が、目の前の自分が語る言葉に重なって、思考が軋む。
見開かれたリッドの双眸から、堪えきれない心の悲鳴が、涙となって零れ落ちた。

『ファラが居なくなるのは怖いよなぁ?だってそうしたら今度こそ自分の居場所はなくなっちまう!もう誰からもオレは許されなくなっちまう!』
「違う違う違う!!!」
『違わねぇよ!お前は優しく見守る振りをして、ホントはずっと怯えてたんだ!この世界から自分の居場所がなくなることを!』
「やめてくれええええええええええええええええええ!!!!!」

リッドの絶叫が響き渡った。
心臓が直接手で握り潰されたように痛む。
もう一人のリッドが、蹲り嗚咽を上げるリッドの元へ歩み寄り、その肩にそっと触れる。

『・・レイスだって、オレを置いて死んじまった。「ここに居る【お前】」はもう誰にも気付かれない。オレ以外には、な』
「さわ、るな・・」
『オレだけが、全部を知ってる。オレはお前で、お前はオレだからな』
「お前なんか、オレじゃねぇ・・!」
『あーっはっはっ・・・!ならもう楽になろうぜ?ずっと孤独に怯えるのは疲れただろ?オレが開放してやるよ、お前を殺してな!!!!!』

雨で沈下した筈の村が再び炎に包まれる。
リッドの目に映るのは、あの時の黒い化物と同化した自分。
『我は影、真なる我・・・』
ああ、これが罪の証だと、罰だとでも言うのだろうか。
ならば自分は、抗う術など持ち様も無いと言うのに。

『         』

影は、小さく呟いた。
--オワリオワリッド--
結論:P4Aの見すぎ。
というかアニメ見てない、原作知らないって方には訳わからん展開ですよねー・・テヘペロ
このままだとリッドは殺されてしまいますが、さてどうなる!?(この先考えてないからって丸投げかよ!)

prev back next
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -