■でも、ありがとな(ルカリド/ジュドリド)
微妙に現パロ?


リッドの暮らす村は、兎に角田舎の片田舎で、人口も少なく、そしてまた車の往来も他と比べて決して多くない。
しかしだからこそ、スピードを上げる車両が増えるのもまた事実であり・・リッドがふと視線を上げると、目の前の交差点(残念ながら信号機は無い)を歩く少女と、そこに突っ込んでくる大型トラックが同時に目に飛び込んできた。

「危ねぇっ!」

けたたましいブレーキ音を上げて、大型トラックが停止を試みる。
リッドは少女を抱きかかえて、可能な限り身を捻った。
どうやら身体はあぜ道から畑に転がり落ちたらしいが、リッドの意識はそこでブラックアウトした。



目覚めて、瞬きを繰り返すと、淡い蛍光灯の光が射し込み、二つの影が自分を覗き込んでいる。
「・・・・、泣き虫ルカ先生と、お人よしジュード先生じゃねぇか」
「開口一番にそんなことが言えるくらいなら、大丈夫みたいだね」
「・・そうだね、でもよかったよ、気が付いて」
ジュードとルカはリッドのリアクションに苦笑するが、その言葉には安堵が滲んでいた。
この二人はこの村唯一の医者たちで、狭い村ながらも老若男女問わず引っ張りだこにされている。
有能なことは勿論、患者に対して真摯に、優しく対応するその姿勢が人気を呼んでいる様だ。

「おいで、エリーゼ」
「はい・・」
ジュードはリッドの眠るベッドを離れ、ある少女を連れてきた。
大人しい性格なのか、リッドと目が合うと少女はジュードの背中に隠れてしまい、再びジュードにその背を押されている。
この子がトラックに轢かれそうになった所を助けたあの少女であることは、リッドも合点がいっていた。
少女は腕に抱いた珍妙な・・いや、個性的なぬいぐるみをぎゅっと握り締める。
「あの、助けてくれて、ありがとうございました・・」
「はい、よく言えたね。エリーゼは僕の知り合いなんです」
「そうだったのか」
そう言ってジュードはエリーゼの頭を撫でる。
少し緊張が解けたのか、少女はリッドに問いかけた。
「ケガ・・痛い、ですか?ごめんなさい・・」
「こんなのなんでもねーぜ?だから気にすんなって」
謝るエリーゼにリッドはニカッと笑って安堵を促し、そんなリッドの様子にエリーゼも小さく微笑んだ。

「それじゃ、ローエンに迎えに来てもらってるから。行こうか、エリーゼ」
ジュードはルカに後を頼むと、エリーゼを入口まで送りに行った。
任されたルカはリッドのベッドへ歩み寄り、包帯の巻かれた腕を軽くつつく。
「なんでもない、だって」
「っつ〜〜っっ!!」
リッドは痛みで声にならない叫びを上げた。ルカはリッドの様子に、ほらね、と肩をすくめる。
「そんな怪我しておいてよく言うよ・・今回は、本当に心配したんだから」
ルカにしては珍しいからかう様な空気から一転し、彼は声のトーンを落とした。
「・・悪ぃ」
リッドがこの様にルカたちの元に担ぎ込まれてくるのは、珍しいことではない。
やれお爺さんを助けただの、やれ幼児を庇っただのと言っては、大なり小なりの怪我を作ってやってくるのだ。
よってリッド自身は到って健康だが、この病院の常連となってしまっている。
しかし今回はルカとジュードが診たリッドの怪我の中で、一番大きなものだった為、心配の分、無茶をするリッドに対するお怒りも、随分と大きいご様子だ。
「もう少し、自分の事も大切にして下さい」
戻ってきたジュードも、ルカと同意見の様だ。こうなってはリッドは肩身が狭い。
「リッドがどんな怪我をしてきても、僕たちは、僕たちの持てる力の全てで、リッドを助けるよ。全力で」
「でも、死んじゃったら元も子もないんですから」
「へーい・・・」
リッドの適当な対応は照れ隠し、そんなこと百も承知だが、ルカとジュードは敢えて目を光らせる。
「反省してないですね?」
「してますしてます」
「本当?注射するよ?」
「うぇっ!?してるって!してるしてる!悪かった、次からなるべく気をつけるから!」
「いっつもそう言って、また怪我してくるんだけどなぁ」
「勘弁してくれよ〜」


--オワリオワリッド--
タイトルはリッドがルカとジュードに向けて言った言葉です。
きっかけはツイブレでの「ルカ先生」
怪我してルカ先生にお世話になるリッドというのを書こうと思って、そう言えばジュードも医者だったな(というかこっちも先生って呼ばれてるし)・・なら登場させちゃえという訳でこんなものが出来上がりました。
何故微妙〜な現パロになったのかは自分でも謎。年齢ついては突っ込んだら負け。
村のイメージは、RM3のリッドやルカたちの故郷の雰囲気を日本の田舎に持ってきた感じかなぁ・・(どんなだ)
アニーのことを思い出したのは、展開全部妄想した後でした、バース先生ごめんなさいーー!(脱兎)

※続くというかオマケ掲載予定です!

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