アナタノオト | ナノ



04





昼休み


昼食をとって、急いで教室を出る。




少しはなれた音楽棟の職員室。

黒の制服がいるだけで奇怪な目で見てくる音楽科の生徒たち。


まぁ、普段両方ともほとんど交流ないからなぁ。





「失礼しまーす」


軽くノックをして扉を開けると

ドアのすぐ近くに、音楽を習ってる先生発見っ!



「あら、神田さんどうしたの?」

「えっと…金澤?先生いらっしゃいますか?」

「えぇ、いるわよ」


向こう、と指された窓際には白衣・金髪の先生らしき人がひとり。


音楽の先生にお礼をいって、窓際へと急ぐ。




「すみません、金澤先生ですか?」


「あぁ?」



あたしの声で机から目を離した先生。


よれた白衣に無精ひげ、まとまってない金髪…

極めつけはタバコ。



……………………なんなんだ、この先生は。



「あぁ…金澤だが…お前、誰だ?」

「普通科2年5組の神田飛鳥です。
 コンクールの件でお話があって………」



「はぁ……お前もか…」


「お前も、って…?」


めんどくさいというように、いすをまわしてこちらを向く。


「さっき、日野もきた」

「日野……もう一人の普通科の?」

「あぁ。なんなんだよ、お前ら」

「あの、あたしコンクール出たくないんですが。
 音楽科の生徒でもないのに選ばれた理由が
ちょっとわかんないんです」

「しらねぇよ。俺が決めたわけでもないし…」

「んっな、無責任な…。
 担当は先生でしょ?」

「はぁ?理事長が勝手に決めたんだよ!」

「ってか、あたしコンクールでる気ないんで。
 辞退の手続きお願いします」

「俺にいうなよなぁ…」


どこまで無責任なんだこの教師。

一発ぶん殴りたくなる…。

「じゃぁ、誰に言えばいいんですか?」

「……今日の放課後、
 音楽棟の屋上行ってみろ。そこでわかる」

「音楽棟の…屋上……?」




「あぁ。"フェ―タ"のうわさぐらい、聞いたことあるだろ?」





キーンコーンカーンコーン



ちょうどいいタイミングで予鈴がなる。



「ほら、早く帰れ。授業始まるぞ」



そういわれ、仕方なく職員室を出る。




授業開始まであと4分。




(遅刻ギリギリセーフ!)
(おかえり〜、どうだった?)
(ねぇ、みんな。フェ―タってなに?)
((((妖精))))
(……………………そう。)


13.05.29