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「もしもし」
『おう、久しぶりだな諸星! どうしたんだよ』
「……いや……暇だったからな」
『ようやく落ち着いたのか? 最近忙しそうだったじゃねーか』
「まあ、少しだが」
『彼女とはどうだ?』
「この前デートしたよ」
『なに? 教えろよな! ずっと応援してたんだぞ』
「悪い。うまくいくかわからなかったから」
『で? どうだったんだ?』
「とりあえず次のデートにはこぎ着けた」
『よかったなあ、どこに行くんだ?』
「彼女が海と夕日を見たいっていうんでドライブがてら港の方かな」
『へえ。お前彼女といくつ差だったっけ』
「6くらいだな」
『そりゃ可愛いだろうな。そんな彼女のおねだりなら張り切るってもんだ』
「まあ、頑張るつもりだ」
『あの子は? 本命を紹介してくれた子。よく遊んでたりしただろ』
「ああ、今もたまに」
『そこらへんハッキリさせとけよ。本命とモメるぞ』
「……そうする」
『あ、そういえば今度地元で同窓会があるんだ。暇になったならお前も来いよ』
「もう随分行ってないな、いい加減顔出すか」
『おう。先輩もお前のこと気にしてたよ』
「悪いな。……ああ、”彼女”が来たから切る。詳しいことはメールでくれ」
『了解。”仲良く”な』

 あ、ありのまま今起こったことを話すぜ。
 FBIの上司らしき番号に電話したら、予想から540°回転してだいぶフランクなおにーちゃんが出てきた。
 何を言っているかわからないと思うが、俺もなにをされてるのか分から……ずに切ってしまうとこだった。危ない危ない。一体いつの間に。
 これはメールのやり取りも大変そうだ、と溜息が出た。

 部屋を見回してみるが、俺には分からなかった。やっぱり次から自分で掃除したほうがいいんだろうか、少し反省する。
 というか、俺自身はいいにしろ、今からカルネやら保証書やら用意して間に合うのだろうか。そもそも俺の車はどこの国に登録しているんだ。その辺手伝ってくれるのか、保証金や輸送費を負担してもらえるかどうかもわからないし、今持ってる車はさっさと売ってしまって、向こうで買い直したほうがいいかもしれない。
 銃器類はどうしよう、どれが組織からもらったやつだったか。

 腕組みをしてちょっと悩んでいると、外から聞こえていた足音が止み、チャイムの音が響く。
 玄関に向かって扉を開くと、想定通りの人物が顔を見せた。

「いらっしゃい、明美」
「おじゃまします、大くん」

 なんてことだ、今日も俺の彼女が可愛い。


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