第1章
04
仕方ないだろ。いっちゃあ悪いけど女は性処理のためなんだから。
そりゃあ本命が飯食おうって言ってきたらそっちにいくだろ。

「えーでもしなびたおっさんより同年代の女の子取るっしょー」

「智んちのお父さん若くてしなびてるって感じしないよな」

「まぁ実際若いしな」

「まじ?いくつ?」

「………今年37」

「えーー俺の親父50だぜー」

藤屋は再び驚くと立ち上がり、背中を向けたままの智希の背中を軽く叩く。
居心地の悪い振動を感じながら智希の口が動いた。

「うち、学生同士のでき婚だからな」

「おっちゃんやるぅ」

「あんま人の家庭詮索すんなよ」

「おっと、ごめん」

藤屋は悪い奴ではないのだが若干、頭が悪い。

そろそろ二人に黙れと言おうとした瞬間、タイミングよく担任が入って来た。
すまんすまんと遅れたことを謝ると生徒達からわかりやすくブーイングが飛ぶ。

藤屋はもっと話を聞きたそうだったが、渋々席につきお菓子の袋を鞄に押し込む。
真藤も担任に席につけと言われゆっくり立ち上がり智希の席から離れようとした。

「おい、真藤」

「ん」

「で、今日何があるんだよ」

「あーとりあえず怒られそうだからまた後で言うわ」

「ん」

担任の視線を気にしつつ真藤は席に戻ると、少し不服そうな智希は配られてきたプリントに目を通した。

……進路か。

高校2年生になると、こんなことも決めないといけなくなってくる。
だいたいスポーツ特待の智希たちは、推薦で大学へ行くことが多いが智希は迷っていた。

スポーツ推薦で大学を狙うか、就職して父有志の負担を少しでも軽くするか。
早く大人になって、有志と対等になりたい。
しかし就職したからといって心が成長するわけでもなく、自分の気持ちを伝えることは出来ない。
わかっているのに。

それでも今は養ってもらっているということにひどく劣等感を感じ、早くカタチだけでも大人になりたいと思っていた。

心が子供じゃ意味ないけどね。

もちろん、わかっている。
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