担任の簡単な進路プリントの説明、明日から始まる時間割や校内プリントが配り終わると、早々に解散となった。
ふと、サイレントにしていた携帯にメールが届いていることに気づく。
父、有志からだ。
「……えっ」
「どうした?」
「わっびっくりした!」
真藤だ。
解散となりプリント類を一気に鞄に押し込み部活道具を持ち上げすぐに智希の所にやってきた。
真剣に携帯を覗き込み小さく驚いた智希を不思議な目で見る。
「なに驚いてんの」
「………べ、別に」
「きになる」
「うっさい。どうせバカにするから嫌だ」
「バカ?あ、もしかして親父さんからメール?」
「…………」
「智君は本当に嘘がつけないよね」
当てられ恥ずかしくなり耳まで真っ赤にしていると、馬鹿にした口調で顔を覗き込む真藤に携帯を取られた。
「ちょっ!なに!」
「えっとー何々。お、親父さん校門前にくるんだ」
「………」
有志からのメールはこうだった。
『ちょっと早く終わったから学校寄るよ。西門ね。12時過ぎで大丈夫かな』
有志が迎えに来てくれている。
それが嬉しくて思わず声が出てしまったんだ。
ふと、時計を見る。
11時30分だ。このあと部活でミーティングがあるけど、昨年と同じなら10分で終わる。