第3章
09
「結構頑固だね」

「だ、ダメだってば!あっ…!」

そろそろ観念すると思っていたのに。
智希は小さく舌打ちをすると、触っていなかった胸の突起をつまんだ。

背筋に電撃が走りうっかり足を開いてしまう。
見逃さない智希はすぐ右足を股に忍び込ませると、ぐっと力を込め押し込んで玄関のドアで有志の体を挟んだ。

敏感になり始めている有志のソコが、智希の膝で刺激される。

「あっ智っ」

それでもまだ手はベルトから離さない。
智希も意地になり、胸の突起を爪で弾き始めた。

「っ…いっあっ」

「段々堅くなってきたね」

子供をあやす様に話しかけると、その声色とは裏腹に有志の胸の突起が赤くなるほどつねり続けた。
親指の腹で押しつぶし、人差し指と挟んで指を鳴らす時の仕草のように弾けさせる。

「あっんんっあっ」

痛い。
確かに、痛い。
しかし痛みと快感が紙一重で、つねられ痛みが伴っているのに、股間はジンジンと脈を打っている。

器用に無い胸を揉みながら胸の突起をつねっていると、我慢できないのか有志が振り返り智希を見上げた。

「も、ほんとだめ、だって」

「じゃあ手どけて」

「せめて風呂に入らせてよ」

「ダメ。時間勿体無い」

智希が人一倍頑固で、負けず嫌いなのはもちろん親なので知っている。
あまり顔には出さないが、意思が強く一度決めたらなかなか動こうとしない。

体力では雲泥の差だ。もう諦めるしかない。
有志がゆっくり力を緩めると、待っていましたとばかりに乱暴だが的確にベルトを外していく。

自分のベルトが外されていくのを見下ろしていると、羞恥で顔から火が出そうだった。
病院で先ほど口でされたというのに、まるで初めて触られるかのように恥ずかしがっている。

ベルトが抜かれると、ストンと音を立てて玄関のコンクリートの上に落ちていった。
あっ、と、有志は声を漏らしたが、すぐ下着に手をかけられ思わず智希の腕を掴む。

「ここ玄関だぞ」

「ん」

「誰か着たら…」

「居留守使えばいいよ」

「でも、あっ」

家の玄関ドアは、左端が磨りガラスになっている。
有志は一応磨りガラスではない場所にいるが、少しでもはみ出せば外からわかりにくいとはいえ人間が動いている姿が映し出される。

やっぱりここでは。
そう言おうとした瞬間、下着の中に手を入れられた。
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