第1章
06
「見たい!智の親父みたい」

「このあとミーティングあるしまた今度な。ってか普通の親だし」

「すぐ終わるんだろ。待ってるし」

無理やり携帯を奪い返し、ポチポチと返信のメールを返す。
基本返信は遅い智希だが、有志に対しては即返信が基本だ。

「お前の父親だろ、やっぱ背高いの?顔似てる?」

「…………」

親と似てるだとかそういう話になったとき、智希は若干不機嫌になる。
血の繋がりをあまり感じたくないからだ。

「全然似てない。父親170ぐらいだし、顔も俺は母親似だから」

「ふーん」

さほど興味を持たなかったのか、真藤はそれ以上追及せず大人しくなった。
智希はホっとしながらも、早く有志に会いたい思いで帰る支度を進め急いで教室を出る。

もちろん、真藤がその後をついてきていることは気づいていた。
しかし部活があるといっていたので、運動靴に履き替えるため下足室へ向かっているだけだと思っていた。
しかし。

「……なんでついてくるんだよ。部室はあっちだろ」

「見たいって言ったじゃん。見たらすぐ部活行くし」

ニコっと笑い腕時計を無理やり見せると、11時40分。
智希はチっと舌打ちをしながらも、本当は真藤に見せたくなかったが有志を待たせることの方が嫌だったので渋々一緒に部室へ向かう。

すでにレギュラーは全員集まっていて、キャプテンが智希を見つけ手招きしている。
もう始まるみたいだ。

「俺こっちで待ってるから」

語尾にハートマークが見えるかのように新藤は智希に甘い声で呟くと、部室の先にある大木にもたれ手を振った。

まじで来るのか…。

キャプテンが部活は明日からであることと、各自自主連メニューはマネージャーに聞くこと。
それだけ言うと解散となった。
5分ほどだ。

新一年生もいる中思いの外早く終わったのですぐ有志に会えると喜んだのだがめんどくさい男、新藤がいる。

どう巻こうか考えていると声をかけられた。
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