異能学園デゼスポワール


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『何なんだ一体』



 音楽室から出た後。次の七不思議調査を続けることにした。そこで春樹は震えながらも仮令に聞いた。

「なぁ、次の七不思議ってさ、もしかして誰かがやらかしたドジとか何じゃないのか」
「ど、ドジ……」

 屋上の歌姫は置いておいて先程のピアノといい、開脚男といい、人が起こしたものばかりだ。周りは確かに、と言わんばかりの顔をする。

「それは確かめてみないとわからんばい!」
「……なら次は何だよ、早く済ませようぜ」

 早く帰りたいのか春樹は怖がってるのかイラついてるのかわからない片足踏みを先程からタンタンタンタン、としている。
それを見る千秋は呆れたように溜息をつく。

「えーと、次は掴んでくる手!」
「掴んでくる手なぁ……これもしかして綾部とかじゃないのか」
「な! そんなわけないだろ! 失礼だな園崎! 怖がりだからって開脚を恐れるんじゃねえ!」
「こ、怖がってねーし開脚も恐れてねーよ!」

 やんやとそう騒ぎながら階段を降りる。すると綾部が盛大にこけてしまった。その事には春樹は気づかずに綾部はこけた拍子に春樹の足を掴んでしまった。

「ぎゃあああ!? あ、足が! つ、掴まれたぁ!」

 足が掴まれた事に動揺して暴れ回る春樹。どだだだ、と階段を急いで駆け下りる。

「ま、待ってよ春樹くーん!」

 翼も春樹を追おうと急いで追いかける。
それと同時に周りの皆が綾部を見る。

「やっぱりお前じゃねえか!」

 綾部はまた頭を叩かれる。

「な、なんだよお前ら!そんなに俺の頭叩いて!そんなに俺が好きなのかよ!」
「好きじゃないから皆、もう置いて行こうぜ」

 ぞろぞろと綾部を見捨てるように皆、階段を急いで降りていく。
綾部は転んだ時に何処かを打ったのか皆を追いかけようとするが、いてて、と動けない状態にある。

「……滅びの歌とか全裸の背泳ぎ男とか綾部っぽい」

 仮令が残念そうに呟く。

「まあまあ、全裸の背泳ぎは絶対そうかもだけど滅びの歌はそれっぽいんじゃないのか?」

 ヒロがフォローを入れる。全裸の背泳ぎ男は明らかに綾部だ、と皆が確信した。
全裸で泳ぐなんて絶対にあいつとしか考えられない。開脚しまくるのだ。絶対にヤツだ。

「滅びの歌か……どんなのだったんだ?」
「えーと、確か、低い声で男っぽかったとか」
「……オペラ歌手志望とかじゃねえのかそいつ」

 皆でそう話しながら笑っていると突然後ろから歌声が聞こえた。しかもその歌声は気味が悪く、こちらへと近づいてくる。しかも聞き覚えのある声、この声は……。

「みぃんな〜〜うぉいてかなぁいでぇ〜〜! 寂しくてかいきゃぁくしちゃぁうよぉ〜〜!」

 開脚しながら禍々しい歌を歌ってやってきたのは綾部であった。

「またお前じゃねえか!」

 綾部はまた頭を叩かれた。
皆はもう疲れていてこの七不思議、探しても意味あるのかと呆れ気味である。

「お前の無駄な行動のせいで春樹と翼がどっか行ってしまうし……厄病神かよお前」
「違うな! 俺は開脚神だ!」

 そういえば春樹と翼は何処かへ行ったままであった。探してもう帰ろうか、という事になった。

「もう置いて帰りましょうよ……琴浦さんも既に呆れて帰っているのでは」
「まあまあそう言うなよ」

 千秋はもう早く帰りたいと言わんばかりにだるそうにしている。
その願いが叶ったのかシェアスが何かに気づいて指を差している。

「見て、あの2人きっとそうじゃない?」

 指が差している先を皆が見つめる。
そこには体操座りで暗そうにしている春樹とそれを慰める翼がいた。

「うぅ……もうむりぃ、まじむり……はやくかえりたい……」
「よしよし、全部回ってればすぐ終わるからねー」
「……情けないですね」
「なんだとコラ」
「まあまあ」

 出会って早々、千秋は喧嘩をふっかけようとするが翼が落ち着かせようとする。
ひとまず見つかってよかったと皆は安心する。
仮令は背泳ぎ男や先ほどの階段のこと、滅びの歌のことを説明する。
これは全部綾部、と少し盛り気味に説明すると春樹は表情を変えた。

「そうか、お前のせいか……」
「おいおい落ち着けよ、俺とお前の仲だろ?」
「歯ァ、食いしばりやがれ……」

 綾部は思いっきり殴られた。


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