異能学園デゼスポワール


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『立てるべきは計画』



「……だからここでこうして……」
「駄目駄目。ここの生徒会が許可出してくれると思うか?」
「まず無理。だけん忍び込むばい」

 放課後、生徒が皆部活動の活動場所へと移動した四組の教室を占拠して、わやわやと作戦会議をする結城ヒロ一行。
 ヒロも初めはあまり乗り気でなかったが、彼らだけに任せているのは何となく心許なかった。色々とアイデアを出しているうちに、前回の功績からかは分からないが、気付けばリーダーにされていた。
 和気藹々とした雰囲気だが、唯一猛反対している者がいた。

「やめとけって成績に関わるかもしれないだろ。見つかったら」
「んもう、いいんちょは真面目だなあん。まあ肩の力抜けって」

 園崎春樹である。
 先程からあの手この手で正論を並べ、意地でもこの計画を無しにしようとしている。雨にも風にも、綾部のウザ絡みにも負けるつもりはないらしい。

「だったら、仮令君の能力をフル活用すればいいんじゃないかな!」
「見つかる前に見つけてやるったい!」

 だが殆どが逆効果だった。春樹の意見一つ一つに対策が建てられ、逆に計画に大きくの貢献していた。
 このままではまずい、と春樹が頭を抱えていると、がらがらと音を立てて扉が開いた。

「うぃーっす、何かやると聞いて」

 聞き覚えのある声に、全員が視線を向ける。丁だ。
 ――これはワンチャンスあるぞ。春樹は一筋の希望の光を見た。気がした。

「めんどいから手短に話せよ? ボクは暇じゃねェんだ」
「えっとね、夜の学校に忍び込むんです!」

 春樹が期待に満ちた目で成り行きを見守っている。
 丁が普段、何をしているのかは誰も知らないが、先ほどの口ぶりからして暇を持て余しているわけでもないらしい。

「は? 何で?」
「次回の新聞の記事にするとですよ」
「深夜の学校に、ねェ……。それボクにメリットないじゃん?」
「ちょっときついけど……夕飯代出しましょうか」
「乗った」

 頼みの綱はあっさりと切れた。

「蜘蛛の糸よりも儚い……」
「どうした、春樹」
「いや、結城は悪くない……悪くないんだ……」


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