06
「あ、あの!!ナマエ先生!」
すたすたと早歩きで歩いていってしまう後姿を必死に追いかけて呼び止めた。
後ろを振り返った彼女は、不思議そうな顔をして私を見たあと「どうしたの?」とふわりと微笑んでくれた。
「私は先生じゃないんだけどね、杜山さん。」
「あ、す、すいません・・・!!」
「謝ることじゃないのよ。」
くすり、と周りに優しい自然が見えてしまいそうな柔らかさでなまえ先生は笑った。
女の私でもドキドキしちゃうくらい、笑顔が綺麗だった。
「それで、どうしたの?」
「あ、今日の先生の授業で分からないところがあって・・・」
教科書を開いて、今日の授業のページを先生に提示した。
教科書を覗き込む先生の髪がふわりと一瞬いいにおいがして、そこまで近づいているということに緊張した。
「あぁ、ここは詳しい説明がないと難しいものね。」
そういった先生は丁寧に説明をしてくれた。
分かりやすい教え方だった。
「――この説明で、分かったかな。」
「は、はい!ありがとうございました!」
「それならよかった。」
そういって微笑んだ先生に私はぽわぁ、と頬を染めた。
先生はそんな私をくすりとまた笑うとじゃあねといって去っていった。
私はその後姿を尊敬の眼差しで見つめるのだった。
笑顔が綺麗な優しい先生!
(おーい、しえみ!)
(りん!ナマエ先生ってすごい先生だね!!)
(そうかぁ?)
(そうだよ!!)