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「・・・・どうしよう。」
――――私は今、悩み中である。
私には大きな秘密がある。それはそれはとても大きな。
悩みというのは、その私の秘密に関連していた。
それは遡ること昨日、私は金造くんに京都案内をしてもらった。
京都出張所周辺や、京都の観光スポットなど、金造くんは昨日一日をかけて私を案内してくれた。
金造くんが昔から通っていたという近所の駄菓子屋から、少し遠出して京都の観光スポットまで、彼はせっかくの休みを私のために使ってくれたのである。
彼と京都の町を歩いて、とても楽しかった。
それが悩みだなんてわけはない。私が悩んでいる原因はもっと別のところにあった。
それは、彼に京都を案内してもらう以前の時である。
出発しようという時に、金造くんが私のあまりの服のセンスの無さに、可愛らしい服を選んでくれた時のことだ。
選んでもらった服を着替えるときに事故が起こってしまったのだ。
そう、あれは事故。金造くんに非などなかった。
彼が着替え中の私を誤って目撃してしまったのは事故なのだ。
もしかすると、私の秘密が見られてしまったかもしれないことが何だというのだ。
かもしれないなんだから彼は私の秘密を見ていないかもしれない。
そう、だから大丈夫。普通に接すればいいんだ。
けれど。
「なまえー!」
「っ。・・・金造君。」
やはり金造君がくると、どうしてもぎこちなくなってしまう。
私はなるべく、いつもどおりに振舞った。
「昨日は京都案内してくれてありがとう。それで、どうかしたの?」
「急いで任務や。いくで!」
「わかった、すぐいく。」
いつもどおり。いつもどおりと心の中で念じて笑みを見せてみる。
すると金造君はどこか不思議そうな顔をして、
「なまえ、なんかあったんか?」
「え?」
どきりと心臓がはねた。金造君はどうしてこんなに鋭いのだろう。
「なにもなかったけど。」
少し警戒してつっけんどんになってしまった。どきどきと心臓の音が早くなる。落ち着いてと頭の中で繰り返した。
「・・・・そうか。」
金造君はそういったあと、にかっと笑って、「ほな行くか!」と歩いていった。
私もその後をついていった。
抱える秘密(なまえ・・・もう少し俺の出番残せや!)
(ご、ごめんなさい・・・・)