03
放課後の教室。
一人またため息をはいていると。
「あ、坊!まだここにおったんですか?」
なまえがひょっこり教室に現れた。
「もうそろそろ、塾始まりますよ?」
「おん、すぐ行くわ。」
まだカバンに荷物すらつめていなかった状況に気づき急いで荷物をつめ始める。
するとなまえが入ってきて、
「またため息ついてはりましたね。」
といってきた。
こいつの中では、ため息のすべてがこいつの言う"坊の好きな人"とつながるのだろう。
俺は適当に返しながらカバンをつめる。
「坊の好きな人っていったい誰なんですか?」
なまえがいきなり聞いてきたものだから思わず持っていた教科書を落としてしまった。
なまえが教科書を拾ってくれた。
「・・・驚かせるつもりは無かったんですけど・・・坊がため息ばっかりつくから少しでもええから悩みが軽なってほしくて・・・」
しゅん、とうなだれるなまえが本当に愛しく感じる。
けれどそれと同時に俺がなまえじゃないほかの女を好きになっていると思われている自分に腹が立つ。
「・・・・俺の好きな奴は意外と近いとこにおるんやけどな。」
「へ?坊、それってつまりどういう意味ですか?」
「わからんのやったら、ええんや。」
伝えたくてもこの関係が壊れるのが嫌だと臆病になっている自分に腹が立つ。
「さ、いくで。」
「え、あ、はい。」
俺はどうしようもない気持ちで祓魔塾に行くのだった。