一筋の光
情事の余韻は、まるで自白剤のように私に事のすべてを話させた。
素肌が触れ合う寝具の中で、私は神田様の腕の中に抱かれながら、私が隠していた話をした。なんて不釣り合いな話を寝具の中でしているのだろう。後になって考えればおかしな話であった。
神田様は、私が隠していたことに関して咎めはしたものの、私の真意を知って理解してくれた。
「俺から中央に文書を送ろう。」
元ノア国最強のくのいちから知らせるよりも疑われずに済むだろうという考えから、私は神田様の提案にありがたくうなずいた。
「ありがとうございます。」
私が微笑むと、神田様が私の額へと口づけを落とす。それから、私の髪をなんとも優しげに撫でる。私はそれだけで満ち足りていく気がした。
「にしても一体、世界の鍵ってのはなんなんだ。」
「私にもよくわかりません。」
申し訳なくて目を伏せると、私が神田様の方を向くよう顎に手を添えられた。
「お前が申し訳なさそうにする必要はないだろう。このことも一応中央へ報告しておく。」
そういって神田様はしっとりとぬれた唇を私と重ねさせる。
「・・・これからは、何かあったら報告しろ。いいな。」
「はい。」
熱のこもった真剣な瞳を見つめながら私は頷いた。心さえ温める熱が、その瞳にはこもっている。
この熱を、私は違う人の瞳の中に見たことがある。熱とはいっても全く別物で、熱いはずなのに心はどんどん凍てついていく、そんな熱。私はその熱を覗き込むたびに恐ろしくて恐ろしくて仕方なくて、でも拒否をすることなど許されるわけもなく、ただひたすら浮かび上がってこようとする凍てついた心を水面下に沈めこむしかなかった。
ティキ様。未だに私は彼らの敬称を外せずにいる。
「神田様。」
私は彼を呼んで、自ら口づけた。私の求める温もりがじっくりと唇から染みわたっていく。
「好きです。お慕いしています。」
「ああ、俺もだ。」
優しく髪を撫で、唇を重ね返してくれる神田様は、私の救世主だ。
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