novel | ナノ


▽ 3:少年達よ、意思を持て


アルヴィンが降りていった直後、ミラが社から出てきた。ジュードが声を掛ける。
「あ、ミラ。どうしたの?休むんじゃないの?」
ミラは驚いたと言いたげな口調で話す。
「こっちの台詞だ、ジュード。まだ村に戻ってなかったのか」
ジュードはうん、と返すとミラは村の者にふたりの事を頼みに行くと言い出す。ジュードはミラの村に馴染めるか不安かという問いを否定し、ミラはクルスニクの槍を壊しに行くのかと聞いた。
「ああ、四大のことと、あの場にいたマナを吸い出された人間たちを考えると、クルスニクの槍とは、マナを集めて使用される兵器なのだろう。あれが今すぐは使われる事はないだろうが、やつらのマナ確保は続くと考えているからな」
「………それは、1人でやるんですか?」
少年が真剣な顔をし、ミラに聞く。
「回りくどいぞ、何が言いたい?」
「……ミラって、どうしてそんなに強いのかなって。」
ジュードはそう呟く。
「君達は、私に興味があるんだな」
ジュードが図星なのか後ずさりする、少年はそうですと言う。
「強い、か。考えたこともないな…私には成すべき事がある。私は、それを完遂するために行動しているだけなのだから」
「でも、今の力で…1人では無理なんじゃないですか?死ぬかもしれないのに…」
「だが、やらねばなるまい。もう決めたことだ。」
少年の言葉に、ミラは言葉を放つ。ミラの言葉からは、ただならぬ意思が伝わってくるようだった。
「やっぱり強いよ、ミラは…」
「ふむ、納得したのか?では村に…」
そう言い、村の方に進もうとしたミラの足は、少年とジュードのミラ(さん)と呼ぶ声に阻止される。
「僕も…連れて行ってください!」
「僕も行っていいかな、一緒に…」
ミラは、少しだけ驚愕の表示を浮かべ、話し出す。
「ジュード、君は、私に関わって普通の生活を失ったろう?後悔していたのではないのか?それに君、記憶喪失と言っていたが…危険だぞ?それこそ、先程君が言っていたように、死ぬかもしれない」
ジュードが、
「ホント言うと少し、でも、いくら後悔したって戻れないものは戻れない…だったら、今の僕の力でもできること…ミラの手伝いをしようかなって。」
といい、少年が
「僕は…どうして記憶喪失になったのかも分からないですし、このまま何も知らないでいるのは嫌なんです、お願いします!」
という。ミラが、
「ジュード、君は本当にお節介だな」
と笑う、ジュードが照れたようにそうかな、と返す。
「巻き込まぬよう、ひとり遅れて社を出たというのに。」
そうだったの?とジュードが返す。ミラがうむ。と頷き、
「君たちとの短い旅路で学んだ「気を遣う」というヤツだ。なかなか難しいな…とにかく村に行こう。君たちに見つかってしまった以上、急いで発つ意味も弱くなってしまったしな」
「うん、あ、ところで君…名前は?」
名前を聞かれて少年は俯いて黙りこくってしまう。しばらく黙った後少年が「エミル」と零したのを聞いたジュードが、
「じゃあエミル、宜しく!」
と、手を出す、少年―――エミルも手を出し、ジュードと握手する。ジュード達は村に向かって行った。

*戦えるの?
ジュ-ド「そういえばエミルのその剣、どうしたの?随分使い込まれてるみたいだけど…」
エミル「えっと、これは最初から持っていたみたいで…」
ミラ「そうか、記憶を失う前のエミルは戦って生きていたのかもしれないな」
ジュ-ド「僕とあんまり年変わらないように見えるのになぁ…
エミル「でも戦うのは怖いですよ…」

*仲良くしよう!
ジュ-ド「エミル」
エミル「何ですか、ジュードさん?」
ジュ-ド「それ!僕ら、同じくらいの年みたいだし敬語は使わなくてもいいよ?」
エミル「わ、分かりました…あ、分かったよ、ジュード…………さん。」
ジュ-ド「僕さ、同じくらいの年の同性の友達がいなかったんだ、だからそういうのに少し憧れてて…無理しなくてもいいから、仲良くして貰えると嬉しいな」
エミル「は、はい!」

『良かった…』
『ラタトスク様、マクスウェル(仮)と一緒に行けずずっと村で暮らす事になったらどうしようと結構内心焦ってましたものね』
『う、うるせぇ!…というか、名前まで忘れてたのかあいつ…』
『あ、名乗ったのラタトスク様だったんですか?』
『本人は無意識に呟いたと思ってるみたいだけどな、エミルは『エミル』として1000年過ごしてきたんだ、今更変な名前付けられるよりはいいだろ?』
『まあ、それもそうですね』

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